ペーパーレス化の方法5つ!成功事例や導入手順を紹介
公開日:2023年7月18日 更新日:2024年6月12日
一口に業務のペーパーレス化といっても、紙を使わずに業務をするのか、紙の書類を電子化するのかによってやるべきことは異なります。できるところから進めるのが第一歩となるので、まずはどのような方法があるかを知っておきましょう。
今回の記事では、ペーパーレス化を進めるための方法を5つ紹介します。ペーパーレス化を進めるための手順や成功事例なども紹介するので、これからペーパーレス化を進めようとしている企業担当者の方はぜひ参考にしてください。
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TOPICS
どのようにペーパーレス化を進めるのかを定める
ペーパーレス化を実現するには、紙に印刷せずに業務を進める方法と紙の書類を電子化して保存する方法があります。どのようにペーパーレス化を進めるのかによっても方法が変わってくるため、ここではそれぞれの方法について解説します。
紙に印刷せずに業務を進める
ペーパーレス化の第一歩として、できるだけ紙を使わずに業務を進める方法を考えることが重要です。例えば取引先に請求書を送付する場合、印刷しないで電子データのまま取引先に送付すれば、紙は必要ありません。
また社会もしくは社内の会議で使う資料も紙に印刷して配布するのではなく、PDFなどの電子データにした上でタブレットやモニターで見られるようにすれば紙は不要になります。印刷代や郵便代などの諸経費も減らせるので一石二鳥です。
紙の書類を電子化して保存する
請求書などの証憑書類は一定期間保存しなければなりませんが、紙で保存すると場所を取ります。しかし、OCRやスキャナを使えば、紙の書類であっても電子化して保存することが可能です。ハードディスクに保存すればさほど場所も取りません。
また電子化することで共有や検索がしやすくなります。紙の書類をファイリングした場合とは違い、必要な書類を簡単に探せるようになるので、業務の効率化にも役立つでしょう。
ペーパーレス化を実現する5つの方法
ペーパーレス化をするためには、具体的にどのような方法が有効なのでしょうか。ここでは、簡単に取り入れられる方法から機器やシステムを導入して行う方法まで、5つの方法を紹介します。社内で実現可能な方法から取り組んでみましょう。
1.紙をデータ化する
紙の書類はスキャニングもしくはカメラ撮影のいずれかの方法でデータ化することが可能です。コピー機にスキャニング機能がついている場合は、社内でスキャニングができます。
またOCRを使って文字をデジタル化して保存してもかまいません。OCRとは、Optical Character Reader(またはRecognition)の略で、画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能のことです。文字データでの保存のため、何らかの理由で修正が必要になった場合も簡単に操作できます。
保存したい書類がたくさんあり社内だけで対応が難しい場合は、電子化代行業者への依頼も検討しましょう。
2.PDFファイルで保存する
パソコンで作成した書類をPDFで保存すれば、紙に印刷したときと同じような状態で保存することが可能です。
PDFであれば異なるツールでも閲覧できるので、データの共有もしやすくなるのが大きなメリットです。取引先に送信する場合でも、PDFであればファイルを開けないリスクがかなり減らせるでしょう。
また契約書や申請書、カタログ、説明書、パンフレットなどさまざまな印刷物も電子化できます。カタログやパンフレットなど、保存期間が決められているわけではない印刷物に関しては、電子化してから紙の元本を処分すれば省スペースにもつながるでしょう。ファイルにパスワードを設定したり、暗号化したりすることもできるので、セキュリティ面でも安心です。
3.ペーパーレスFAXを使う
取引先とのやり取りにFAXを主に使っている場合は、ペーパーレスFAXの導入も検討してみましょう。
ペーパーレスFAXとは、受診した文書をデータとして保存できるFAXのことです。紙に印刷しなくても情報が確認できるので、書類の振り分け作業や管理も簡単になります。あらかじめ設定をし、振り分け作業も自動化しておけば、さらなる効率化とミスの抑止にも役立つでしょう。
また電話回線ごとに転送できるため、必要な文書のみ受信できることもメリットです。加えて、ペーパーレスFAXなら外出先からでも確認できるので、テレワークや出張の間にも確認できます。さらに、チラシなど重要性の低い文書は印刷する必要がないため、コストの削減にも役立ちます。
4.タブレット端末を活用する
タブレット端末を活用することも一つの方法です。タブレットはノートパソコンに比べると軽くて小さいため、会議や外出先にも簡単に持ち運べます。PDFなど電子化されたファイルの閲覧もできるので、必要な書類や資料をどこでも確認することが可能です。
また書類や資料を紙に印刷しなくても良くなるため、手間やコストが省けます。外出や出張の際も、紙の資料を持つ必要がないので、荷物を減らせるでしょう。万一、外出先で紛失や盗難などがあった場合でも、パスワードを設定しておけば情報流出のリスクを軽減できます。
さらに、検索機能で必要な情報をすぐに取り出すことが可能です。保存した場所がわからなくなってしまった場合でも検索すれば見つかるので、業務の効率化にもつながります。
5.システムを導入する
システムを導入することで、これまで紙で行っていた業務をペーパーレス化することができます。ここでは、ペーパーレス化に役立つシステムを紹介します。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、打刻や労働時間の管理、残業や休暇の申請・承認などができるシステムのことです。具体的な操作方法は勤怠管理システムによっても異なりますが、従業員個々人が各自のパソコンやスマートフォンなどを使って操作できます。
必要な情報は全てシステム上に集められるため、タイムカードや手作業による集計を行う必要はありません。ペーパーレス化だけでなく、ミスの防止や集計作業時間の削減など業務効率化につながることが大きなメリットです。
電子契約システム
電子契約システムとは、オンライン上で契約を締結できるシステムです。書面の作成や電子署名、取引先との契約手続きなどをオンラインで完結させることができます。
担当者が取引先に契約書を持って出向いたり、郵送して先方に記入してもらったりする必要はありません。手間も費用もかけずに契約手続きを進められることが、電子契約システムを導入する大きなメリットです。また契約書をそのままデータで保存できるため、ファイリングや保管の手間も省けます。
ワークフローシステム
ワークフローシステムとは、稟議書や経費精算書、見積依頼書などの申請・承認手続きを電子的に行えるシステムのことです。
書類を印刷したり、承認を得るために社内便で送付したりといった手間が省けます。印鑑も不要になるため、出張が多い従業員がいたり、リモートワークを実施していたりする場合でも滞りなく業務を進められます。
ペーパーレス化だけでなく業務効率化にも役立つツールとして、前向きに導入を検討する価値はあるでしょう。
文書管理システム
文書管理システムとは、書類を電子データとして管理・保管するためのシステムのことです。管理・保管にあたって印刷をする必要がないので、紙や印刷、ファイルなどにかかるコストを削減できます。また電子データとして保存するため、書類の検索や共有をスムーズに行える点もメリットです。
加えて、改正電子帳簿保存法に対応した業務体制の見直しにも役立ちます。改正法の施行により電子データの保存が義務化された書類もあるため、この機会に導入を検討してみましょう。
電子帳票システム
電子帳票システムとは、請求書や注文書などの帳票書類を作成したり送付したりできるシステムのことです。Web経由で帳票書類を送付、管理できるため、紙への印刷や郵送が不要になります。取引先に請求書や注文書を送付する際は、システム上からの操作だけで取引先に書類を送付することが可能です。
印刷・送信にかかる紙やコストを減らせるだけでなく、作業にかかる手間も大幅に削減できます。改正後の電子帳簿保存法に対応した形で帳票書類を保存できるシステムもあり、導入を進めている企業が増えています。
ペーパーレス化の導入手順
ペーパーレス化を進めるプロセスで失敗しないようにするためには、しかるべき手順を踏むことが重要です。ここでは、導入をスムーズに進めるための手順について解説します。
意義や目的を明確にする
目的を明確にしないままペーパーレス化を推進しても、経営層や社員の理解は得られません。まずは、ペーパーレス化の意義や目的を明確にし、経営層や社員の理解を求めることが大切です。
そのためには、業務を進める上での課題を洗い出し、ペーパーレス化によるメリットを説明しましょう。社内で抱えている課題を挙げ、ペーパーレス化によってどのように解説するのか、具体的に説明することが重要です。納得した上で導入を進めれば、社員の協力を得やすいでしょう。
対象となる書類や業務を決める
経営層や社員の理解が得られたら、対象となる書類や業務を決めましょう。ペーパーレス化の対象となる書類や業務を分類し、具体的な方法やルールを決めていきます。
ただし、すべての書類や業務を一度にペーパーレス化するのは混乱を招くかもしれません。例えば、紙の請求書以外は対応していない取引先が多ければ、対応方法を検討するのに時間がかかります。混乱を最小限にするためには、まずは取り組みやすい部署から始めることも一つの方法です。
システムを選定する
ペーパーレス化の対象となる書類や業務が固まったら、目的に合ったツールやシステムを選定しましょう。ツールやシステムの導入にはコストがかかるため、費用対効果や操作性、機能性などを確認する必要があります。
見積りを取るなどして、複数のシステムを比較検討するようにしましょう。可能であれば試用版を取り寄せ、一定の期間を決めて対象となる書類や業務に携わる従業員に使ってもらい、意見を聞いてみることもおすすめです。
効果を検証する
ペーパーレス化を実施した後は、定期的に効果を検証し、必要に応じて改善することが重要です。具体的な事例や数値で効果を示し、ペーパーレス化のさらなる推進を図りましょう。
ペーパーレス化を進める上で、以前とは違う問題点も出てくるかもしれません。そのような場合は、問題点を解決するためにどのような施策を講ずるべきか考えましょう。経営層や社員などの内部関係者や取引先などの外部関係者へのヒアリングも有効です。
ペーパーレス化を進めるメリット
ペーパーレス化を進めるメリットの一つに、印刷コストの削減やオフィススペースの有効活用が挙げられます。紙への印刷・保存が不要になるため、紙代やインク代、保存用スペースもいりません。これだけでも多額のコストが削減できるでしょう。
また書類の回覧や郵送、検索などの手間が省けるため、業務の効率化が期待できます。送り先を間違えるなど根本的なトラブルがなければ、間違った相手に届く可能性も非常に低いでしょう。
加えて、データ化することで社外からのアクセスもしやすくなり、テレワークの推進にもつながります。出張中や自宅などからでも社内と同じように必要な書類を見られるので、業務が滞る心配もありません。
ペーパーレス化によるデメリット
一方、ペーパーレス化にもデメリットがあります。
まず、タブレットやノートパソコンで閲覧する場合、ディスプレイのサイズによってはデータが見づらいかもしれません。紙のように複数の書類を並べて見ることもできないため、業務内容によっては紙に印刷してチェックしないと進められない可能性もあります。
また、ペーパーレス化を始める際は、ツールやシステムの導入コストがかかります。その分の資金をどう調達するかも問題になるでしょう。
加えて、ネット環境やシステムに障害が発生すると、書類や資料の電子データにアクセスできなくなるおそれがあります。トラブルが起きた場合はどう対応を進めるかも併せて考えておく必要がありそうです。
ペーパーレス化を導入する際の注意点
ペーパーレス化は業務の効率化につながる可能性がありますが、やり方を間違えるとトラブルの原因にもなります。そのため、ペーパーレス化を進める際は、以下の点に注意しましょう。
電子帳簿保存法の要件を確認する
電子帳簿保存法では、帳簿や帳票書類などを電子データで保存する際の保存要件が定められています。
電子データとして保存する際は、電子帳簿保存法の規定に準拠する形で保存しなければなりません。現在導入しているシステム、もしくは今後導入する予定のシステムが規定に準拠できるかどうかを確認し、改善が必要なら早めに対処しましょう。
また、電子帳簿保存法の改正により、電子取引の取引情報はオリジナルの電子データのまま保存することが義務付けられました。ペーパーレス化の対象となる書類や業務を見直し、どういう形で進めれば電子帳簿保存法における要件を満たせるかを確認しておきましょう。
ファイルを検索しやすいようにする
電子データのファイル名やフォルダ名は、検索しやすいように一定のルールを決めておきましょう。ルールが明確になっていないと、ファイル名やフォルダ名のつけ方が統一されない状態になってしまいます。データが整理されていない状態では、必要なデータを探すのに手間がかかるので注意が必要です。
また電子帳簿保存法でも検索性の確保が必要とされているので、要件に合うように整理することが重要になります。少なくとも、以下の項目については検索できる形にしておく必要があります。
・取引年月日
・その他の日付
・取引金額および取引先
・社内担当者もしくは先方担当者の氏名
上記の他にも、社内で検索しやすい項目があれば追加すると良いでしょう。
取引先の了承を得る
ペーパーレス化を進める際は、取引先の了承を得ることも重要です。取引先によっては、電子データではなく紙での対応を求められることもあります。特に請求書などの帳票書類は、取引先の事情によっては紙での発行が必要になることも珍しくありません。
すべての取引先に対して電子データでのやり取りを行うのではなく、希望に応じて郵送やFAXでの対応ができるよう、社内体制を整えておきましょう。取引先との関係を保つ上で非常に重要です。
ペーパーレス化に成功した事例
ペーパーレス化の導入にあたり、他社の事例を参考にすることもおすすめです。ここでは、以下の2つの成功事例を紹介します。ペーパーレス化により、どのような効果があったのかもわかるので、ぜひ参考にしてください。
株式会社せんにちの事例
株式会社せんにちは、主に業務用の玉子焼やあんこの製造販売をしている会社です。同社は取引先が非常に多く、毎月300件、1,000ページ以上の請求書を発行し、郵送していました。件数が多い分、請求書の郵送には多くの手間がかかります。
しかし、請求書を電子化し、自動送信することで、毎月の請求業務にかかる時間を大幅に削減することに成功しました。また請求業務にかかる工数が大幅に削減されたため、他の業務に回す時間が増え、与信管理のトラブルも削減できました。同社では今後、電子化に使ったツール『@Tovas Master +』を使いこなすため、社内で業務効率化につながるアイデアの具現化に力を入れるとのことです。
株式会社カウネットの事例
株式会社カウネットは、オフィス用品の通信販売サービスを行っている会社です。同社では、取引先約500社に対して月間2,000枚以上の支払明細書を発行していました。しかし、作業コストの増大やセキュリティリスクなどの課題があったため、支払明細書の発行・配信方法の変更を迫られていました。
そこで課題解決に役立ったシステムが、コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』です。Web配信に切り替えたことで、作業コストやセキュリティリスクの削減を実現できました。紙と郵便での請求業務を行う必要がなくなったため、人的負担を軽減できた上、テレワークを推進するきっかけになったことも見逃せないメリットです。
まとめ
ペーパーレス化を進めるには、紙を電子化して保存する方法と、紙に印刷せずに業務を進める方法があります。またペーパーレス化することで、コストの削減や業務効率化などの効果が期待できるでしょう。個々の会社に合った方法があるので、ペーパーレス化の具体的な方法や導入手順、事例などを参考にしながら、徐々に取り組んでみてください。
その時に検討していただきたいのが、コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』です。『@Tovas』は帳票書類を電子化してWeb上で送信できるシステムで、帳票書類の発行や保存に関する業務をペーパーレス化できます。また、送信側の電子帳簿保存法にも対応しており、取引先の要望に応じて、郵送やFAXでも送付することが可能です。ペーパーレス化を検討している場合はぜひ導入をご検討ください。
@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)