ペーパーレス化が非効率を招く原因とは?ペーパーレスの不便を解決するために必要な考え方
公開日:2023年7月18日 更新日:2024年6月12日
単にシステムやツールを導入しただけのペーパーレス化はかえって業務が非効率になってしまうおそれがあります。今回はペーパーレス化の効率の低下を防ぎ、より賢く活用するためのコツやポイントについて紹介します。
誤ったペーパーレス化が非効率を招く原因やペーパーレス化の不便を解決するために必要な考え方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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ペーパーレス化が非効率と感じる理由とは
ペーパーレス化はうまく進めれば業務の遂行力を上げてくれますが、やり方を間違えると紙よりも効率が悪くなるおそれがあります。非効率と感じてしまう理由について以下で確認します。
書類の視認性が低下する
紙で印刷していた書類をディスプレイで閲覧すると、視認性が落ちる可能性があります。紙とディスプレイでは文字情報を処理する脳の部位が違うと言われています。データで問題なく作成した文章でもプリントすると誤字が見つかるように、情報の捉え方が異なると考えられています。
書類にメモを書き込めない
紙の場合は紙へメモを書き込むことができますが、電子データの場合はツールがないと直接書類に書き込むことはできません。メモが書き込めるようにタッチパネル付きの端末やタッチペンなどを用意しておく必要があるでしょう。
必要なデバイスが整備されていない
必要なデバイスが整備されていない場合、せっかくの電子データも扱いが難しく感じてしまうかもしれません。ハードウェアの面で言えば業務用のパソコン・タブレットはもちろん、大規模なデータを扱う場合はサーバーのレンタルや回線の整備も必要です。ペーパーレス化を進める前に、どのようなデバイスが必要なのか確認しておきましょう。
ツールの導入やルール作りに手間がかかる
個人であれば自分一人で好きなツールに合わせて整備・運用できますが、会社のように世代や働き方も異なる複数の人が利用する場合はルールをしっかり整備する必要があります。
具体的にはファイル名の名前の付け方をマニュアル化したり、社内でデータをやり取りするためのチャットツールを整備したりすることなどが必要です。
慣れるまで時間がかかる
効率的にペーパーレス化するなら、多かれ少なかれ既存の業務フローを変える必要があります。例えば請求書の電子化や、出張で発生した領収書を所定のフォームへ記入することなどが考えられます。こうした新しいフローに慣れるまでは、一部の社員としては非効率と感じることがあるかもしれません。
新しいフローに慣れるまでの時間を短縮するには、導入前後にしっかりした周知・教育を行うことが大切です。利用することで業務が楽になるという意識を持ってもらえるよう指導をしましょう。
通信環境に左右される
優れたフローを組み立てた場合でも、通信環境が悪いと効率的な運用は見込めません。そのため、ペーパーレス化を進めるにあたり、通信環境の見直しが必要です。
また災害時など万一の場合でも一定の業務能力を確保できるよう、リスクの分散を検討する必要があります。
ペーパーレス化が非効率を招く原因
ペーパーレス化は単にツールを導入しただけでは効率化にはつながりません。ここでは、ペーパーレス化を目指した結果として非効率となる原因と理由について考えます。
必要性を理解していない
ペーパーレス化は一口に言っても人的・資源コストの削減や業務の効率化、生産性の向上などさまざまな目的を内包しています。ただ漠然と紙を減らすことだけを意識しているとフローを変更する意義が呑み込めず、ペーパーレス化への意欲がわかないかもしれません。
また普段の生活でパソコンやスマートフォンをそこまで深く活用していない人からすると、新しいやり方は手間がかかると感じるかもしれません。その場合、ペーパーレス化を進める前に社内のITリテラシーの確認・育成が重要になります。
システムやツールを活用していない
システムやツールも導入するだけでは活用できているとは言えません。単純に閲覧・編集するだけではなく、送受信の簡素化や検索性の向上などさまざまな使い方が考えられます。ただ媒体を変えて従来のとおりに運用しようとするだけでは必ずどこかで無理が生まれます。紙と電子データは管理方法から変えていく必要があることを意識しましょう。
一方で、もし機能の豊富なシステムやツールを導入したとしても、操作が複雑すぎると使い方の理解で時間がかかる可能性も考えられます。導入コストは指導の手間も含めたトータルで計算しましょう。
書類の管理方法が混在している
最終的には電子データのみで運用しようとしても、移行期間中はどうしても紙とデータが混在します。完全に移行するまでは、どちらの形式で保存しているのか分からず、捜索や管理に手間がかかる可能性も考えられるでしょう。過渡期によくある事例であり、この期間をいかに短くするかが肝心です。
また社内では電子化に向けて着実に移行できていても、取引先もそうとは限りません。先方が紙による発行や受け取りを求めている場合、思ったような効率化が見込めない可能性もあります。
ルールが定まっていない
ペーパーレス化の大きな利点の一つに高い検索性能が挙げられます。しかしファイル名のつけ方や保存場所が定まっていなければ、ファイルの検索もうまくいきません。他にも管理ルールが決まっていないと分散されて保存することになり、結果的に情報漏洩のリスクが上がってしまうことも考えられます。
真に効率的なペーパーレスを実現するには、ルールの策定と徹底が欠かせません。管理方法を理解することで結果として社員のITリテラシーも向上し、セキュリティリスクの低下にもつなげられるでしょう。
紙の方が非効率になるケース
紙での管理では検索性など効率が良くない点がいくつかあります。電子化が進む昨今の労働環境では紙だけで運用しようとすると他社の効率に及ばない可能性もありますので、上手な使い分けが肝心です。紙での管理が非効率となるケースを以下で紹介します。
検索するのに時間がかかる
紙媒体の大きな欠点は検索性能の低さです。いくら事業や目録ごとに管理したとしても、具体的に知りたい項目がどの書類に書いてあるか調べるには一定の時間が必要です。データベースの量が大きければ大きいほど目を通さなければならない書類も増えるため、事業が拡大するほど検索性能は落ちる可能性があります。
その点、電子媒体であれば調べ方のコツが分からなくとも、すべてのデータを短い用語で横断検索できるというメリットがあります。データベースが拡大しても紙媒体ほどには時間がかからないでしょう。
書類整理に手間がかかる
書類は減るペースより増えるペースの方が多いと考えられます。定期的に整理整頓しなければあっという間に保管スペースはなくなってしまうでしょう。ファイリングも手作業で行う必要があるため、整理・運用には時間的コストだけでなく人的コストもかかります。
他にも保管場所が適切でないと紙が黄ばんだり焼けたりといった劣化のおそれもあります。紙の書類を適切に管理するにはそれなりの手間がかかるでしょう。
簡単に修正や差し替えができない
一部の重要な書類は、記載内容を間違えた場合でも修正テープなどでの訂正が認められていません。間違えたら印刷の時点からやり直す必要があるため、過度の間違いは時間と資材の浪費につながります。
また二重線で訂正できる場合でも、印鑑の押印や上司からの認証などのステップを踏むことになります。改ざんやミス防止のためとはいえ、修正や差し替えにかかる手間は日々繰り返すには効率が悪く、精神的にも負担となるでしょう。
情報共有しづらい
紙の書類では遠く離れたところにいる人に情報を伝達しにくいというデメリットがあります。例えば社外の人に書類を渡すには郵送するか持参する必要があります。到着までに時間がかかることから、書類が手元に渡るまで業務が一時的に滞ってしまうでしょう。
また社内の人間であっても、オフィス以外の場所で仕事をするには紙の書類に書かれた情報が確認できず仕事の内容に制限がかけられます。閲覧制限をかけられないことから情報漏洩のリスクもあります。感染症対策などでテレワークが進む昨今では、紙の書類だけというのは現実的ではないでしょう。
ペーパーレスの不便を解決するために必要な考え方
ペーパーレス化は適切な手順を踏むことで効率化が見込める手段です。不便さや非効率さを乗り越えるために重要な考え方を以下で解説します。
段階的に実施する
ペーパーレス化は業務フローの変革も含む大きなプロジェクトです。そこでペーパーレス化を全社一斉に開始するのではなく、まずは一部の部署やプロジェクトから始めていくのはいかがでしょうか。企業運営への影響が小さいだけでなく、クリアできたポイントや予想と違った点を確認して次に生かすことが可能です。
スモールスタートのメリットはPDCAが回しやすい点だけでなく、予算などのリソースを確保しやすい点も挙げられます。さらにペーパーレス化に精通した社員を育て、他の社員の教育係に回すこともできるなど、長所が多いやり方です。
デバイスやシステムを導入する
ペーパーレス化にはデバイスやシステムの導入が不可欠です。ペーパーレス化の目的を明確にし、それに合致した製品を選ぶことが成功のコツです。
ただし、デバイスやシステムの導入にはイニシャルコストがかかります。ペーパーレス化という看板に惑わされることなく、許容できるコストの額や期間を冷静に把握することも肝心です。スモールスタートで得た知見を元に、社員が使いやすく理解しやすいものを選びましょう。
ルールを明確にする
ペーパーレス化に限らず、集団で効率よく仕事を進めるには明確なルールが重要な役割を果たします。致命的な内容で言えばセキュリティやデータへのアクセス権限などです。日常業務の細かい部分で言えばファイル名やフォルダ名のつけ方が考えられます。
特にペーパーレス化に限って言えば、スキャンした書類の管理や廃棄についてのルールを早めに決めなければなりません。一度にすべてを徹底することは困難ですので、細かなところから一つずつ改善していきましょう。
まとめ
ペーパーレス化は進め方を間違えると紙で管理するよりも非効率と感じることがあります。しかし検索性や伝達性といった面では電子データの方が効率的です。互いの良いところと悪いところを理解し、DX化が進むビジネスの現場で最も効率の良いやり方を探していきましょう。
不便さを解消するにはペーパーレス化の段階的な実施や必要なツールの導入、ルールの策定などが肝心です。コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』なら、帳票書類を電子化してWeb上で送信が可能です。帳票書類の発行や保存を効率的にできる他、郵送やFAXでのやり取りにも対応しているため取引先の要望にも合わせられます。ペーパーレス化を進めるために、ぜひ導入をご検討ください。
@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)