
経理書類の電子化による業務改革 法令対応と効率化の実現
公開日:2024年12月22日 更新日:2025年3月23日
経理書類のデジタル化が加速する中、2024年1月からの電子帳簿保存法改正により、電子取引データの電子保存が義務化されました。これにより、企業における経理書類の電子化対応は待ったなしの状況となっています。
本記事では、経理書類の電子化に関する法改正の要点と実務における対応方法、そして業務効率化を実現するためのソリューションについて解説します。
TOPICS
経理書類の電子保存が義務化!今求められる実務対応とは
2024年の電子帳簿保存法改正では、法人税および所得税の納税義務者に対して、電子取引データの電子保存が義務付けられました。EDI取引やクラウドサーバー経由の取引、メール添付のPDF請求書、ECサイトの領収書など、電子的に受け取った全ての取引データが対象となります。
この制度改正により、電子取引データの印刷による紙保存は原則として認められなくなりました。ただし、令和5年度税制改正大綱では、やむを得ない場合に限り、例外的に紙での保存が認められる場合があります。
重要なのは、この法改正が単なる保存方法の変更にとどまらない点です。電子保存を実現するためには、システムの導入だけでなく、承認フローや業務プロセスの見直しまで含めた包括的な対応が必要となります。
実務上、特に注意が必要となるのは以下の三点です。第一に、保存要件への対応です。電子取引データは「取引情報を原則データ」として保存し、電子帳簿保存法が定める要件に則って保管する必要があります。これには検索機能の確保やデータの改ざん防止といった技術要件も含まれます。
第二に、保存期間の管理です。法定帳簿や決算関係書類は7年間の保存が必要とされており、インボイス制度における適格請求書についても同様の保存期間が定められています。これらの保存期間を適切に管理できる体制の整備が求められます。
第三に、監査対応の整備です。電子データの適切な保存と管理が重要となり、アクセス権限やデータの整合性について、明確な管理体制を構築する必要があります。
このような要件に対応できない場合、税務調査における説明責任を果たせないリスクや、事後的な対応コストの増大といった問題が発生する可能性があります。経理部門としては、この法改正を契機として、より効率的で正確な経理業務の実現に向けた取り組みを進めることが重要です。
経理書類の電子化がもたらす経営メリットとその価値
経理書類の電子化は、法令対応の枠を超えて、企業経営に多面的な価値をもたらします。人手不足への対応や働き方改革の推進が求められる現在、その重要性はますます高まっています。ここでは、経理部門のデジタル化がもたらす具体的な経営メリットについて解説します。
業務効率の向上とコスト削減の実現
経理書類の電子化による最も直接的な効果は、業務効率の向上とコストの削減です。従来の紙ベースの業務では、書類の整理・保管に物理的なスペースが必要となり、必要な書類の検索や取り出しにも多くの時間を要していました。
電子化により、これらの業務プロセスは大きく変わります。クラウド上での一元管理により、必要な書類はキーワード検索で即座に取り出すことが可能です。物理的な保管スペースの確保や、書類の劣化対策といった管理コストも削減できます。
さらに、インクやコピー用紙などの消耗品費の削減効果も見込めます。これまで必要だった帳票の印刷や複写が不要となり、経費の抑制にもつながります。
テレワーク時代に対応した業務環境の構築
経理書類の電子化は、場所を問わない業務遂行を実現します。クラウドベースの管理により、オフィス以外の場所からでも安全に経理書類にアクセスでき、テレワークやハイブリッドワークといった新しい働き方に対応できます。
特に重要なのが、確認や承認が必要な書類の処理です。電子化されたワークフローにより、場所や時間に縛られない迅速な処理が可能となり、働き方改革の推進とワークライフバランスの向上にも寄与します。
内部統制の強化とコンプライアンスの確保
経理書類の電子化は、内部統制の強化にも大きく貢献します。電子化された文書は、アクセスログや変更履歴が自動的に記録されるため、誰がいつどのような操作を行ったのかが明確になり、不正や過失のリスクを低減できます。
また、承認ワークフローの電子化により、承認の漏れや遅延を防ぎ、より確実な内部統制を実現できます。リモートワークが増加する中でも、確実な承認プロセスを維持できる点は、経理部門にとって重要な価値となります。
監査対応における業務負荷の軽減
電子化された経理書類は、監査時の対応も効率化します。必要な書類を素早く検索・抽出できるため、監査人からの要請に迅速に対応することが可能です。また、データの一貫性や完全性も確保されやすく、監査証跡も自動的に記録されます。
監査では特定期間の取引や特定の取引先との取引など、様々な切り口でのデータ抽出が求められますが、電子化によってこれらの要請にも柔軟に対応することができます。
経理書類の電子化を成功させるための実践的アプローチ
経理書類の電子化を成功に導くためには、組織全体での計画的な取り組みが必要です。ここでは、電子化プロジェクトを確実に推進するための具体的なアプローチについて解説します。
電子保存の対象範囲を明確にする
まず重要となるのが、電子保存が必要となる書類の範囲を正確に把握することです。2024年1月からの電子帳簿保存法改正により、EDI取引データ、クラウドサーバー経由で受け取る請求書類、メール添付のPDF請求書、ECサイトの領収書データなど、電子的に受け取る全ての取引データが保存対象となります。
一方で、紙で受け取った書類のスキャナ保存については任意とされています。しかし、業務効率化の観点からは、将来的な全面電子化を見据えた対応を検討することが望ましいでしょう。
業務プロセスの最適化を図る
電子化の導入に際しては、既存の業務プロセスの見直しが不可欠です。特に重要となるのが、電子データの受領から保存までの一連の流れです。この過程では、データの正当性確認や、承認プロセスの設計、保存ルールの策定といった要素について、明確な基準を設ける必要があります。
承認フローの設計においては、電子データの特性を活かした効率的なワークフローを構築することが重要です。その際、内部統制の観点から、適切な権限設定とアクセス管理の仕組みを整備することも忘れてはなりません。
段階的な導入計画を策定する
電子化の推進においては、一度に全ての業務を変更するのではなく、段階的なアプローチを取ることが賢明です。まずは請求書の発行・受領といった定型的な業務から着手し、初期の成果を確実なものとすることが重要です。
その上で、基幹システムとの連携や他の業務領域への展開を進めていきます。この際、初期段階での経験や課題を活かし、より効果的な運用方法を検討することが可能となります。
持続可能な運用体制を確立する
電子化の成功には、実務担当者の理解と適切な運用が不可欠です。そのためには、データの入力・保存ルールの標準化や、例外的なケースへの対応方法の明確化が必要となります。
また、継続的な運用品質を確保するため、定期的な運用状況の確認や必要に応じたルールの見直しを行う体制を整えることが重要です。これにより、長期的な視点での業務改善が可能となります。
@Tovasが実現する経理書類の電子化と業務革新
経理書類の電子化を成功させるためには、法令要件への対応と業務効率化を両立する必要があります。コクヨが提供する電子帳票クラウドサービス「@Tovas」は、これらの要件に総合的に対応し、経理部門のデジタル化を強力に支援します。
確実な法令対応を実現する機能
電子帳簿保存法への対応において、@TovasはJIIMA認証を取得しており、法令が定める要件に準拠したデータ保存を実現します。データの真実性確保から、可視性の確保、検索機能の具備、改ざん防止に至るまで、改正電子帳簿保存法で求められる要件に対応しています。
インボイス制度への対応も万全です。コクヨ製の適格請求書フォーマットを標準搭載し、登録番号の自動チェック機能により正確性を確保します。また、7年間の法定保存期間に対応した保存機能を備えており、長期的な法令遵守を支援します。
業務効率を高める先進機能
@Tovasの特長は、マルチチャネルでの配信管理にあります。電子ファイル、FAX、郵送という3つの方法による配信が可能で、取引先ごとの希望に応じた配信方法を選択できます。これらの配信作業は一元管理され、業務効率の向上に貢献します。
また、@Tovas Master+により、既存の基幹システムとのスムーズな連携を実現します。基幹システムの改修を必要とせず、既存のシステム環境を活かした導入が可能です。さらに、段階的な機能拡張にも対応し、企業の成長に合わせた柔軟な運用を可能にします。
データの安全性を確保する機能
@Tovasは、データの暗号化による情報漏洩防止と、誤送信リスクを防ぐセキュアなファイル送信の仕組みを備えています。また、特定相手向けの私書箱機能により、安全な配信インフラを提供します。これらの機能により、経理書類の電子化に必要なセキュリティ基盤を実現します。
充実した導入・運用支援体制
導入時から継続的な運用まで、専門的な支援体制を整えています。導入検討時からの専任担当者による支援、きめ細かな運用サポート、さらには継続的な業務課題解決支援を提供します。
コクヨならではの専門性
100年以上にわたる帳簿・伝票の製造販売実績を持つコクヨの専門性が、@Tovasの強みとなっています。帳票業務に特化した専門知識と、業界特有の課題に対する深い理解により、実務に即した解決策を提供します。継続的な製品改善とサポート提供により、長期的な業務効率化を支援します。
経理書類の電子化で実現する、これからの経理部門
既に電子取引データの電子保存が法的要件となった今、経理部門のデジタル化は待ったなしの課題となっています。ここでは、経理書類の電子化によって実現できる未来の経理部門の姿と、その実現に向けた具体的なステップについてご説明します。
デジタル時代の経理部門が目指すべき姿
経理書類の電子化により、経理部門はより戦略的な役割を担うことができるようになります。データの一元管理により、必要な情報へのアクセスが容易になり、経営判断に必要な情報をタイムリーに提供できるようになります。また、基幹システムとの連携により、データ入力や転記作業が自動化され、より付加価値の高い業務に注力できる環境が整います。
場所や時間に縛られない業務遂行が可能になることで、テレワークなど柔軟な働き方にも対応できます。さらに、承認プロセスの電子化により、リモート環境でも確実な内部統制を維持することができます。
具体的な導入ステップ
電子化の実現に向けては、まず現状の業務フローを整理し、電子化による改善が見込める領域を特定することから始めます。その上で、適切なシステムの選定と段階的な導入計画の策定を行います。
@Tovasは、基幹システムの改修を必要とせず、既存のシステム環境を活かした導入が可能です。専任の担当者による導入支援も用意されており、確実な移行をサポートします。
経理部門の変革に向けて
電子化への移行は、単なるシステム導入ではありません。これは、経理部門全体の業務改革であり、より効率的で付加価値の高い業務体制への転換です。
コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』は、『@Tovas』なら、電子帳簿保存法の要件を満たした方法で電子データを保管することができるクラウドサービスです。『@Tovas』の「アーカイブ電子帳簿保存法オプション」は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)認証の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得しています。
また『@Tovas』なら、請求書や納品書などの帳票書類を電子化して送付することが可能です。経理部門全体の業務を効率化するために、ぜひご利用ください。