経理業務をアウトソーシングするメリットとは?注意点も解説
公開日:2024年3月18日 更新日:2024年6月12日
経理業務の負担を軽減する方法の一つとして、アウトソーシングの導入があります。アウトソーシングとは、業務の一部を外部業者に委託することです。経理では単純な入力作業や手間のかかる作業も多いため、業務内容によってはアウトソーシングすることで業務負担を減らせるでしょう。
本記事では、経理業務をアウトソーシングするメリットや注意点について解説します。アウトソーシング以外に経理業務を効率化する方法も併せて紹介するので、参考にしてください。
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TOPICS
経理業務のアウトソーシングはどのようなサービス?
アウトソーシングは、アウト(外部から)ソーシング(調達)の言葉のとおり、外部から調達するものを指す言葉です。一般的には人的資源の調達として使われることが多く、委託できる業務の範囲も幅広いです。経理業務を請け負うサービスもあり、企業の業務効率化をするための方法として期待されています。ここでは、経理業務のアウトソーシングとは、どのようなサービスか解説します。
アウトソーシングとは
アウトソーシングとは、本来は社内で行う業務の一部を外部に委託することを指します。もともとはコスト削減のための手法として活用されてきましたが、近年ではリソース不足の補填や自社にノウハウのない業務の円滑な進行など、さまざまな目的で活用されています。
経理業務以外にも各種事務、コールセンター、営業、受付など、さまざまな業務をアウトソーシングできます。一般的に定型的な業務はアウトソーシングしやすいといわれていますが、定型業務以外にもIT部門やデータ活用、マーケティングなど、委託できる業務範囲は多岐にわたります。
こうした優秀な外部リソースを活用して、企業価値を維持・向上させるという意味合いがあることも、大きな特徴です。
アウトソーシングできる経理業務の種類
経理部門は定型的な業務が多いことから、比較的アウトソーシングに向いているとされている部門です。主に、以下の業務がアウトソーシングできます。
・記帳
・請求書や納品書などの発行・送付
・給与計算や支払
・年末調整
・固定資産や減価償却の管理
・決算書の作成
・決算申告
これらの業務の一部だけをアウトソーシングすることも可能です。また、繁忙期や産休・育休・病気休養中の社員が出たときのみ、アウトソーシングすることもできます。
なお、依頼先としては税理士事務所、会計事務所、経理代行サービス会社などの選択肢があります。費用は依頼内容や企業規模によって異なりますが、高度な場合は月額数十万円~数百万円程度になることも珍しくありません。
経理業務をアウトソーシングする5つのメリット
経理業務のアウトソーシングにより業務効率化を実現できれば、さまざまなメリットを得られるでしょう。ここでは、アウトソーシングにより期待できるメリットを5つ解説します。
業務負担を軽減できる
経理業務をアウトソーシングすることで、業務負担を軽減できます。日本では少子高齢化の影響で人手不足に悩む企業も多いことが実状です。特に経理業務は会計や税務、法律の知識や経験が必要なので、より人材を確保することが難しくなっています。
また人手不足ゆえ少ない人員で業務を回さざるを得ないことから、属人化に陥っている企業も少なくありません。担当者が会社を休んだときや、何らかの事情で退職した場合、業務がストップすることもあり得るでしょう。しかし、経理業務をアウトソーシングすれば、人手が足りない企業でも業務負担を軽減できる可能性があります。
コア業務に専念できる
経理業務をアウトソーシングすることで、より専門性の高いコア業務に専念できることも大きなメリットです。経理業務の中には、決算資料の作成や予算編成、財務分析など高い専門性が求められる業務もあり、人材の確保や育成が難しいという事情があります。そのため、いつまでたってもルーティンの業務から抜け出せず、コア業務に着手する時間が確保できないのです。
しかし、経理業務をアウトソーシングすれば、難易度は高くないものの時間や手間のかかる業務を外部委託することが可能です。作業時間を大幅に節約できるので、より専門性の高い業務に専念できるようになります。
ミスを防止できる
アウトソーシングの導入は、ミスの防止にも役立ちます。経理業務では細かい数字を扱うため、ミスが起こりやすいことも事実です。業務が忙しいと机の上が乱雑になったり、集中力が途切れたりするので余計にミスが起こりやすくなります。
根本的にこのような状況を解決するためには、業務負担を減らし、集中できる体制を整えるのが望ましいです。アウトソーシングにより業務負担が減れば、より業務に集中しやすくなりミスの軽減につながります。また複数の人が業務に携わることでダブルチェックが行われるので、チェック体制の強化も可能です。
繁忙期の対応がしやすい
業務量が増える時期だけアウトソーシングを導入すれば、少ない人員でも対応しやすくなることもメリットの一つです。
経理業務には繁忙期と閑散期があり、閑散期であれば少ない人員で業務をこなすことも十分に可能です。しかし、閑散期と同じ人員で繁忙期の業務をこなそうとすると、担当者の負担が大きくなります。時間外労働やミスが増える原因にもなるので対策が必要です。
そこでアウトソーシングを活用すれば、閑散期は企業内部の人員で業務を回し、繁忙期は足りない部分を外部で確保することが可能になります。人手不足ではあるものの、新たに人員を増やす余力がない場合にも、アウトソーシングが有効です。
迅速に法改正に対応できる
経理業務では、法改正へのスピーディーな対応が必要です。アウトソーシングを導入すれば、迅速に法改正に対応できる可能性があります。
また税制や社会保険制度が変更されるたびに、業務フローを変更せざるを得ないとなると、社員への負担はますます大きくなってしまいます。税理士事務所など専門性の高い業者へ経理業務の一部をアウトソーシングすれば、法改正にも柔軟に対応してもらえるので検討してみましょう。
経理業務をアウトソーシングする際の注意点
経理業務のアウトソーシングは便利なサービスですが、注意すべき点もあります。業務効率化のために委託したにも関わらず、かえって手間がかかってしまうケースもあるでしょう。ここでは、アウトソーシングの注意点を解説します。
業務フローの共有に手間がかかる
経理業務に限らず、業務の一部または全部をアウトソーシングするには時間がかかります。業務フローをマニュアル化して外注先と共有する必要があるためです。すぐに共有できるマニュアルがあるなら問題ありませんが、マニュアルの内容が古かったり、そもそもマニュアル自体がなかったりする場合は、新たに作らなければなりません。作業が必要な場合、アウトソーシング先に共有できるようになるまで時間と手間がかかります。
社内にノウハウが蓄積されない
経理業務をアウトソーシングすると、一部の業務を社内で行わなくなってしまうため、ノウハウが蓄積されません。そのため、従業員の知識やスキルの向上につながらない可能性があります。
またアウトソーシングを永続的に行うなら特に問題はありませんが、終了するタイミングで社内の体制を見直さなければなりません。終了する可能性が少しでもある場合や、人材育成を進めたい場合は一部の業務のみのアウトソーシングにとどめましょう。
情報漏えいのリスクがある
アウトソーシングには情報漏えいのリスクがあるため、注意が必要です。業務を委託するには、アウトソーシング先へ自社のデータを渡さなければなりませんが、セキュリティ体制に問題があった場合、情報漏えいするリスクがあります。具体例として考えられることは、書類の紛失やシステムへの不正アクセスなどです。
アウトソーシング先のセキュリティ体制を確認し、事前に秘密保持契約を締結するなど対策には念を入れましょう。
経理業務のアウトソーシングが失敗するパターンとは
経理業務のアウトソーシングにより業務が改善できれば問題ありませんが、中には失敗するパターンもあります。どのような失敗があるのか、具体例として3つのパターンを紹介します。
業務負担を削減できなかった
業務負担を軽減するためにアウトソーシングを導入したものの、想定よりも業務負担が軽減できないケースがあります。原因として考えられることが、業務マニュアルの不備です。業務マニュアルが不十分だと、アウトソーシング先も業務の流れが理解できず、質問対応に時間を割かざるを得ません。
また不正確な理解に基づいて業務が進んでしまうと、大規模な再チェックや作業のやり直しが発生するので、時間と費用が余計にかかります。
イレギュラーな対応が難しい
経理業務を含め、業務のアウトソーシングにも共通する欠点として、イレギュラーな対応が難しいことがあげられます。基本的に委託契約の内容に沿って業務が進められるため、緊急時や時間外の場合はすぐに対応できないこともあるでしょう。
アウトソーシング先を選ぶ際には、トラブルの発生時にどのぐらいの期間で対応してもらえるか確認することが大切です。業務委託の内容によっては、スタッフに常駐してもらえる可能性もあるので、そのような対応が可能なのかも確認してみましょう。
想定よりもコストがかかる
アウトソーシングする業務の量や専門性によっては、高額なコストがかかる可能性があります。内部で対応したほうがコストを抑えられる可能性がないか、契約前には見積もりを取って十分に検討しましょう。
コストを抑えたい場合は、特定の業務のみ委託するかなるべく費用を抑えられる業者へアウトソーシングするなどの工夫が必要になります。委託のパターンを数パターン考えた上で費用をシミュレーションしてみましょう。
アウトソーシング以外に経理業務を効率化する方法
アウトソーシング以外にも、工夫次第で経理業務は効率化できます。ここでは、具体的な方法として、以下の3つを紹介します。アウトソーシング以外の選択肢として、自社に合う方法を検討してみましょう。
業務フローを見直す
まずは業務フローを確認し、各工程で非効率なところがないかを検討しましょう。長期間、業務フローの見直しをしていない場合は、状況にそぐわず非効率になっている可能性があります。改善の余地がないか、あらためて確認してみてください。
例えば、定型業務をマニュアル化する、経費精算を都度払いにせずに月1回に集約するなどの方法があります。ただし、経理業務は部門内だけで完結する業務ではないため、他部署の従業員にも進め方を確認した上で見直しをすることが大切です。
書類の電子化やキャッシュレス化をする
書類の電子化やキャッシュレス化も経理業務の効率化に役立ちます。経理で扱う書類を電子化することで、印刷や郵送、ファイリングなどの手間を削減することが可能です。紙を扱わないことで、紛失や汚損などのトラブルも減らせます。
また法人クレジットカードの導入や電子決済などを活用すれば、現金を扱う必要がありません。特に、小口現金は残高が合わないことで業務時間が延びてしまうこともあるでしょう。キャッシュレス化すれば、現金の管理や現金出納帳への記載が不要になることも大きなメリットです。
システムを導入する
システムを導入することも、経理業務の効率化に役立ちます。帳簿や決算書の作成、請求書の発行や送付などの業務を効率化することが可能です。加えて、記載漏れや計算ミス、誤送付などの軽減にもつながり、ヒューマンエラーの防止にもなります。
さらにクラウドサービスであれば法改正にもいち早く対応できるので、対応漏れによるトラブルも起きません。実際に導入する際は、数社のサービスを比較検討してみましょう。
システムの導入がおすすめの理由
アウトソーシングに頼らず経理業務を効率化する方法はいくつかありますが、中でもシステムの導入がおすすめです。ここでは、その理由を詳しく解説します。
社内で業務を完結できる
システムを導入すれば、アウトソーシングしなくても業務効率化を進めることが可能です。一度データを入力したら必要な場所に即座に反映されるため、人の手で都度入力する必要がありません。業務の負担が軽減できる上に、ヒューマンエラーも起こりにくくなります。
またシステム内の自動アップデートにより法改正にも対応できるため、自社で対応する必要はありません。さらに必要な経理情報をいち早く収集・検索できるため、財務分析や監査対応などにも活用できるというメリットもあります。
社内で業務が完結するので、アウトソーシングの場合とは違い、情報漏えいのリスクを軽減することも可能です。
コストを削減できる
システムを導入すれば、見積書や請求書などの書類をWeb上で送信できるようになるため、印刷代や郵送代などのコストを削減できます。
特に、郵送代は2024年秋頃に大幅に値上げされる方針で、送付先が多いほどコストが増えるため注意が必要です。定型封書が84円から110円、はがきが63円から85円へ引き上げられる予定であるため、毎月の郵送物が多ければかなりの負担になるでしょう。
このため、アウトソーシングした場合の郵送代行の費用も値上げされる可能性があります。状況次第ではシステムを導入し、自社内で対応したほうがコストを抑えられることも考えられます。
【企業事例:株式会社せんにち様】請求書のペーパーレス化で生産性の向上とコスト削減を実現
システム導入による請求書のペーパーレス化で、生産性の向上とコスト削減を実現した事例を紹介します。株式会社せんにち様は、ミス防止のために請求に関わる経理業務の細かい作業や管理をダブルチェック体制で行っていましたが、この作業に毎月30時間程度かかっていました。
同社では、負担を軽減すべくコクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』を導入しました。その結果、毎月1000ページ以上の請求書の電子化に成功しています。発行業務を自動化することで、経理業務にかかるコストの大幅減とトラブルの抑制も達成できました。本事例は、基幹システムの改修をせずに短時間で実装まで進められた事例です。ご興味のある方は、以下リンクのページから資料をダウンロードいただけます。
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まとめ
経理業務をアウトソーシングすることで、業務の効率化やミスの防止、法改正へ対応しやすくなるなどのメリットがあります。しかし、思ったより業務負担の軽減につながらないケースや高額なコストがかかるケースもあるので注意が必要です。また、アウトソーシング以外にも経理業務の負担を軽減することは可能です。特にシステムを導入すれば、社内で業務効率化を進められコストの削減にもつながる可能性があります。
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