注文書を電子化する方法3選!電子帳簿保存法の要件と併せて解説
公開日:2024年2月16日 更新日:2024年3月15日
社内でのテレワークや業務効率化を進めるため、注文書の電子化を検討している企業担当者の方もいるでしょう。注文書を電子保存するには主に3つの方法があるため、取引先との兼ね合いや社内体制に合わせて適した方法を検討する必要があります。
本記事では注文書を電子化する方法を解説します。書類を電子化する際は電子帳簿保存法に適合する必要があることから、ツールが対応しているか確認することも重要です。注文書の電子化を進める際の参考にしてください。
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注文書は電子化して発行・送付できる
注文書は依頼をする側が依頼を受ける側に対して発行する書類のことです。注文したい内容の個数や金額、その他の要件について書かれています。発注書と同じ役割を持ちますが、合計金額や細かい条件に応じて使い分けている会社もあるため、注意しましょう。
注文書は法的な発行義務はありませんが、発注後のトラブルを防ぐ目的や慣例として作成するケースが多いようです。また下請法が適応される契約のときは注文書の発行が必須になります。
注文書はかつて紙で発行することがほとんどでしたが、近年はメールやシステムなどを使って電子データで送付することも一般的になりました。ただし、注文書は電子書類保存法の適用書類のため、保存する際には法律の規定に従う必要があります。
注文書の電子化で得られる効果
他の帳票書類と同様、注文書も電子化することで業務の効率化やコストカットが目指せます。ここでは、注文書の電子化で得られる効果を解説します。具体的なメリットについて、以下で確認しましょう。
業務を効率化できる
仕事にパソコンが欠かせなくなった昨今、業務の効率化のためには書類の電子化は欠かせません。システムを導入すれば社内承認にかかる時間を短縮できるだけでなく、先方に到着するまでの時間も短くできるでしょう。
また電子データは保存や管理をする際の効率化にも有効です。後からの検索がしやすくなることで、探す手間を省くことができます。サーバーに情報を収められるため、物理的な保存場所を用意する必要がなく、空いたスペースを有効活用することも可能です。
コストを削減できる
注文書は国税に関係する書類のため、法律による規定で7年間の保存義務があります。紙で保管していた場合は保管場所の他にも印刷にかかる消耗品費など、場所的・金銭的な細かなコストがかかるでしょう。
そして何より大きなコストは作成と送付に関わる人的・時間的コストです。少ない人数で多くの書類を発送する場合、作業員の心理的な負担も重いでしょう。
電子データであれば送付までの労力を大幅に減らせる他、消耗品費など細かな出費も抑えられます。
セキュリティ対策を強化できる
紙の書類は紛失や流出などトラブルが付き物です。例えば届く書類が多すぎたために社内で紛失する、他の書類と間違えて処分してしまうケースなどが考えられます。社外に持ち出すような書類であればお店やタクシーに置き忘れるなどのリスクもあるでしょう。このように、紙の書類はセキュリティの面で、さまざまな懸念があります。
電子データであれば、もしローカルに保存したものを削除した場合であっても再ダウンロードすれば問題ありません。社外に置き忘れるリスクもないでしょう。電子データでの保存も万全ではありませんが、紙の書類特有のセキュリティリスクは大幅に軽減できます。
テレワークに対応できる
感染症の拡大に合わせて急速に浸透したあとも、一部の企業では引き続きテレワークでの勤務を推進しています。遠隔地でもオフィスと変わらぬ労働環境を用意するには、重要書類のペーパーレス化は欠かせないでしょう。
システムを導入すればオフィス以外の場所でも作成・送付できることから、商談をスピーディに進めることができます。災害や介護などやむを得ない事情で出社できなくても、作業を停滞させずに業務を続けられるでしょう。
注文書を電子化する方法3選
注文書を電子化するには最初からデータで作る以外にも、紙の書類をスキャン・撮影など状況に応じて3つの方法から選ぶことが可能です。ここでは、電子帳票管理システムを利用するケースも踏まえ、3つのパターンを紹介します。
注文書をパソコンで作成する
1つ目は最初からパソコン上でデータとして作成する方法です。使うツールとしてはExcelやWordが一般的で、最終的にPDF形式で出力します。
テンプレートを用意して使いまわせば、毎回一から作成する必要はありません。PDF形式は後からの編集がしにくいことから改ざんが難しく、またスタンプ機能を使えば簡単に承認印を押せるでしょう。社内用として交付されるパソコンはExcel・WordやPDFを搭載していることも多いため、追加のコストがかからない点も魅力です。
紙の注文書を電子データに変換する
先方から受け取った紙の注文書は原則としてそのまま紙で保存しますが、データでの保存も可能です。電子帳簿保存法の要件を満たしたカメラやスキャナで取り込み、必要に応じて出力できるよう検索情報をつけて保存しましょう。
電子帳簿保存法が2022年に改訂されたことで、書類の電子化は以前よりも導入しやすくなりました。今後も電子化の流れは進んでいくと予想されるため、早めに作業フローを整えておくと良いでしょう。
データ化して保存した後は、紙の原本は破棄してかまいません。ただし、企業によっては原本を保管しているケースもあるので、社内ルールを確認する必要があります。オフィススペースが限られている場合、保管コストを抑えるためにも書類の電子化に力を入れた方が良いでしょう。
システム上で発行・送付する
電子帳票システムは、書類の作成・送付・管理をシステム上で一元的に管理できることが一番のメリットでしょう。
ExcelやWordなど他のソフトウェアと異なり、書類の作成に特化しているため便利なサブツールが多くそろっている点も魅力的です。電子帳簿保存法に対応しているシステムを導入すれば、法律に則った保存が可能になります。
また書類に適したセキュリティ管理がなされている点も、帳票管理システムのメリットです。担当者以外の操作を制限できる他、作業をした時間や内容についても記録が残るため、万が一改ざんがあった際も特定がしやすいでしょう。紙の書類とは異なり、書類を破棄する際もシュレッダーでの処理や業者への委託が不要なので手間がかかりません。
電子帳簿保存法で定められている要件
注文書を電子化する前に、保存要件について確認しておきましょう。電子帳簿保存法の改正によって、電子化は以前よりも導入しやすくなりましたが、もし要件を満たしていなかった場合はペナルティを受ける可能性もあります。
電子帳簿等保存
電子帳簿の保存要項は、優良とその他の2種類があります。優良であることを事前に申告しておくと、もし申告漏れがあった場合も過少申告加算税が5%減額されます。詳しい要項は下記の表を参考にしてください。
保存要件概要 | 優良 | その他 |
記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること | 〇 | – |
通常の業務処理期間を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること | 〇 | – |
電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間で、相互にその関連性を確認できること | 〇 | – |
システム関係書類等(システム概要書・システム仕様書・操作説明書・事務処理マニュアル等)を備え付けること | 〇 | 〇 |
保存場所に、電子計算機・プログラム・ディスプレイ・プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと | 〇 | 〇 |
1.取引年月日、取引金額、取引先により検索できること 2.日付または金額の範囲指定により検索できること 3.2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること |
〇(税務署員からの要求に応じられる場合は1、2は不要) | – |
税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしておくこと | -(上記に準じる) | 〇(優良の条件をすべて満たしているときは不要) |
スキャナ保存
紙の帳票書類をスキャンして保存するには、適用条件を満たす必要があります。注文書を含む一般書類の条件についての要項は、以下の表のとおりです。
要件 | 一般書類 |
入力期間の制限(書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力) | – |
一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り | 〇 |
カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上) | ※1 |
タイムスタンプの付与 | 〇※2 |
解像度及び階調情報の保存 | 〇 |
大きさ情報の保存 | – |
ヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認) | 〇 |
入力者等情報の確認 | 〇 |
適正事務処理要件 | – |
スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持 | 〇 |
見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備付け | ※1 |
整然・明瞭出力 | 〇 |
電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け | 〇 |
検索機能の確保 | 〇 |
税務署長の承認 | 〇 |
※1.一般書類の場合、カラー画像ではなくグレースケールでの保存可
※2. 受領者等が読み取る場合、受領後、受領者等が署名の上、特に速やか(おおむね3営業日以内)に付す必要あり。
電子取引
電子データで注文書を発行・受領した場合は、電子取引に該当します。こうした電子データを保存する際は真実性の要件と可視性の要件の両方を満たす必要があります。以下で詳細を確認しましょう。
真実性の要件 | 次のいずれかの措置を行う 1.タイムスタンプが付された後の取引情報の授受 2.授受後、速やかにタイムスタンプを付す 3.データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用 4.訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け |
可視性の要件 | 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。) |
見読可能装置の備付け等 | |
検索機能の確保 |
注文書を電子化する際の流れ
注文書を電子化するには、まず業務フローを見直す必要があります。またシステムの導入や運用体制整備も検討しましょう。ここでは、注文書の電子化をする際の流れについて、注意したいポイントも含め解説します。
業務フローを見直す
電子化は、単に管理システムやツールを導入しただけでは根本的な解決に至らないため、まずは業務フローを見直す必要があります。既存の業務フローが明文化されていない場合は、課題の洗い出しから始めると良いでしょう。
見つかった課題やボトルネックは、電子化に先駆けて改善できる方法を検討することが肝心です。例えば、今まですべての書類を紙で管理していたなら、書類の作成や保管のやり方が大きく変わります。システムを導入する場合は、慣れないユーザーでも直感的に操作できるか、包括的に管理ができるかといった点に注目する必要があるでしょう。
また、取引先との連携も重要なポイントになります。もし取引先が電子データでの授受に対応していない場合、事前に相談して承諾を得ることが大切です。
システムを導入する
注文書の発行数が多い場合、ExcelやWordでの作成・管理には限界があります。またセキュリティの面では保存場所へのアクセス制限などを別途かける必要があり、手間やコストがかかるでしょう。
帳票発行に特化したシステムを導入すれば、個別の書類にかける手間を減らし書類を一元的に把握できます。電子帳簿保存法に対応していることが多く、JIIMA認証の取得有無を確認すると、システムが保存法に対応しているか判断できます。
システムを選定する際には今までのワークフローに合致しているかどうか、導入や運用にかかるコストや機能性、セキュリティ対策、サポート体制など、さまざまな面から検討が必要です。
運用体制を整える
電子化ツールや帳票管理システムは導入しただけでは、十分に活用できているとはいえません。最初に洗い出した業務フローを元に新しいやり方を確立し、社内に周知することが大切です。マニュアルや問い合わせ先の整備を整え、不慣れな社員でも自力で解決できるような環境づくりが理想的でしょう。
またシステムの運用にあたっては、セキュリティ対策が欠かせません。セキュリティ対策を徹底するには、パスワードの設定やデータの暗号化、アクセス権限の付与などが必要です。
ただし、帳票管理システムが強固なセキュリティを備えていても、使う側のリテラシーによっては効果を発揮できず、思わぬところから情報漏えいが起きたりしかねません。社内研修を実施するなどして、社員のセキュリティ知識を高めることが大切です。
まとめ
注文書をはじめとした帳票書類は、電子化によってコストの削減が見込めるだけでなく、セキュリティ面も強化できる可能性があります。注文書を電子データで保管するには、PDF化やスキャナ保存、システムの導入などが必要です。特に注文書の発行枚数が多い場合は、帳票管理システムを導入すると便利でしょう。
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