税務調査の結果報告はいつ?調査結果の種類3パターンと対処方法も解説
公開日:2023年11月15日 更新日:2023年12月28日
税務調査とは税務署による納税状況の調査で、書類確認だけでなく実地での調査も含まれます。調査の結果、何も問題がなければ終了しますが、何かしらの指摘事項が発覚した場合は修正を勧告されるでしょう。
今回は、税務調査の結果報告の時期や調査結果の種類に応じた対処法などを解説します。調査にかかる日数や結果が届くまでの期間についても紹介しますので、実際に税務調査が入る際のスケジュール調整にもご活用ください。
TOPICS
税務調査では何を確認される?
税務調査とは、確定申告で申告された内容が正しいかどうかを確かめるために行う税務署の調査です。主に強制調査と任意調査がありますが、犯罪性の高い案件でない限り任意調査となることが一般的です。
所得税や相続税は、納税者自身が金額を算出・納付する申告納税制度を採用しています。もし故意に納税額を少なく申告した場合、国税通則法128条違反となり罰金や懲役が科されます。このため、違反が疑われる法人・個人に対して税務署は捜査を行い不正が行われていないか確かめるのです。
税務調査では過去の申告内容が正しいかどうか判断するため、保管されている申告書類や添付書類・領収書などが提出書類と一致するか確認します。税務調査が行われる時期や対象となる法人・個人に明確な決まりはありません。ただ、任意調査の場合は事前に必ず連絡が入るでしょう。
税務調査の大まかな流れ
税務調査はおおまかに事前通知・実地調査・結果報告の3段階に分かれます。それぞれの具体的な内容について以下で解説します。
事前通知
税務署が税務調査の実施を決定すると、対象となる法人・個人に調査の詳細が通達されます。具体的には日時や場所、目的などの内容です。任意での調査となるため、どうしても外せない合理的な理由があればスケジュールを変更することも可能です。ただし書類を隠蔽する恐れがあると税務署側が判断した場合は、こうした通知が入らないケースもあります。
調査日程の擦り合わせが完了したら、調査を受ける側は必要な書類をそろえる必要があります。顧問税理士がいれば用意すべき書類について相談をしておくとベターです。書類が足りず調査が一度で終わらなかった場合、税務署の側は書類の隠蔽や改ざんを疑うかもしれません。不正をしていないことを明確にするためにも、調査がスムーズに進むよう手はずを整えましょう。
実地調査
税務調査では、調査官が実際に現場に出向いて調査が行われます。時間帯は午前10時~午後4時頃の昼時なので、もし仕事に支障が出る場合は事前通知の段階で調整しましょう。日数は調査される側の規模によっても変動しますが、だいたい2日ほどかかります。
捜査官は書類を確認しつつ、納税者にも質問を行い内容に誤りがないか確認します。必要書類をしっかりそろえた場合でも追加の資料や取引先への調査を求められることもありますので、このような要求を受けた場合は素直に承諾しましょう。
また必要と判断された場合、一部の書類は捜査官が一時的に預かることもあります。このときも事前調査と同様に承諾を取りますが、書類が預かりになった場合に備えて事前にコピーを取っておくと良いでしょう。
結果報告
実地調査後、数日後に結果が到着します。大企業など捜査範囲が広い場合は数カ月程度かかるケースもありますが、個人や中小企業であれば1週間程度が目安となります。なお否認事項が多い場合はこれより伸びる場合もありますので、気長に待ちましょう。
納税額に誤りがなく、正しく納税できていることを証明できればそのまますべて是認扱いとなり調査は終了します。仮に申告内容に誤りがあった場合はその旨について調査員から説明されるでしょう。納税者の方から修正申告をするか、税務署長による更正処分を待つ流れになります。指摘事項がある場合の詳しい対応については後ほど詳しく説明します。
すべての処理が終わると調査終了の通知書が交付されます。
実地調査の日数は何日くらい?
実地調査の日数は事業規模や調査内容によってまちまちです。ここでは、調査にかかる日数の目安を提示しますので、調査を受ける際のスケジュール調整の参考にしてください。
2日程度が最も多い
先述の通り、実地調査の日程は2日程度が最も多いとされていますが、明確に決まっている訳ではありません。個人事業主など小規模な事業形態であれば1日で完結することもあります。
ただし、調査日数は事前には分からず、実際に調査が終わるまで何日かかるかはケースバイケースです。具体的な理由は不明ですが、進展に応じて調査項目を増やす可能性があるためと考えられます。事前通知を受け取ったら、数日間は対応する必要があると考えてスケジュールを調整しておきましょう。
3日以上かかる場合は要注意
調査の進捗状況によっては3日以上かかるケースもあります。事業規模と比べて日数が長引いたときは少し注意が必要です。この場合、以下のような原因が考えられます。
・調査資料が多い
・調査資料が不足している
・申告漏れが疑われる
調査資料が多く、調査に時間がかかっているだけであれば問題ありません。しかし、調査側が手元にある情報だけでは判断ができない、または不正が疑われているために調査日数が伸びていることも考えられます。この場合、調査後に申告漏れや脱税で指摘を受ける可能性があるため留意しましょう。
税務調査の結果報告はいつになる?
税務調査の結果は通常1週間~3カ月程度で通知されることが一般的です。結果報告が遅れている場合は、何らかの原因があることも考えられます。結果報告が遅れている場合の原因や対策についても以下で紹介します。
早ければ調査後1週間程度で出ることもある
税務調査の日数同様、調査後の結果報告についても日数に定めはありません。早い場合、実地調査から1週間ほど見ておくと良いでしょう。大企業の場合は数カ月かかるケースもありますが、基本的には遅くとも3カ月以内に連絡があるでしょう。
この3カ月という期間は税務署側の仕組みにも由来しています。もし3カ月以上長引かせる場合は調査側も上長に確認を取らなければなりません。そのため、通常の調査であれば長くとも3カ月を越えることは少ないと考えられます。
長引く場合は3カ月以上かかることもある
結果報告までに3カ月以上かかっている場合は要注意です。調査側から意図的な仮装・隠蔽による脱税の嫌疑が色濃いと疑われている可能性があると考えられます。特に重加算税の対象となりそうな場合は時間をかけてじっくり調査が行われるため、さらに時間がかかるでしょう。
税務調査を長引かせないためには、まず故意の仮装や隠蔽は厳禁です。公明正大な会計処理を普段から心がけましょう。さらに故意でない場合でも数値上のミスは疑いの標的になりやすいため注意が必要です。会計ツールの導入など、日頃からヒューマンエラーの発生防止に努めましょう。
調査結果の種類3パターンと対処方法
税務調査の結果は、申告是認、修正申告、更正の3パターンに分かれます。ここでは、それぞれの内容と通知を受け取った場合の対処について詳しく解説します。
申告是認
申告是認は3つのパターンの中で唯一何も指摘することがない場合に通知される結果です。申告内容に問題がないことを示す申告是認通知書が書面で届き、受理した時点で税務調査は終了となります。
修正申告
調査で修正が必要な項目が見つかると、調査官から修正申告をすすめられます。具体的な指摘事項について説明を受け、自分で申告した内容を修正するかどうか判断しましょう。基本的に税務調査が入った時点で多くの人は否認を受け、修正を打診されます。もし指摘された内容が妥当なものであり、速やかに税務処理を終わらせたい場合は、この時点で修正申告への対応を検討しましょう。
ただし、修正申告は義務ではありません。もし調査結果に納得がいかない場合、再調査を依頼したり修正を放棄したりすることも可能です。しかし税務署から一度調査が入ると今後も調査を受ける可能性が高まるため、基本的には税理士にも相談しつつ慎重な対応を心がけましょう。
更正
修正申告は前述のとおり義務ではありませんが、もし修正申告をしなかった場合、税務署から更正通知書が届くケースもあります。更正通知書とは税務調査によって見つかった不備を指摘する内容が記載された書類です。更正通知書には更正後に納付すべき税額も記載されています。
具体的な不備は以下のような例が考えられます。
・計算ミス
・税務数値に対する認識相違
・過少・過大申告があった点
受け取った内容に異論がなければ、そのまま更正通知書に従って不足している分を納付します。異議がある場合は裁判所に不服申し立てをすることも可能です。いずれにせよ、税理士など税制度の専門家に判断を仰ぎながら進めると良いでしょう。
税務調査後に修正申告する場合の手続き
修正申告をする際に不足していた税やペナルティとして課される税を追加で納める必要があります。申告の方法や納めるべき税について以下で確認します。
修正申告の方法
税額を本来よりも少なく申請していた場合、修正申告によって正しい税額に変更する必要があります。修正申告は税務署の窓口の他、e-TAXや郵送でも行えます。
書類としては通常の確定申告と同様に確定申告書(申告書第一表と申告書第二表)の提出が必要です。提出する書類が修正申告のものであると明記し、あとは通常の確定申告と同様に数値を記入します。新たに書類を求められた場合は添付書類も準備しましょう。なお、以前は修正申告用に第五表という申告書がありましたが、2022年分の所得税の確定申告から廃止されました。
修正申告にかかる具体的な方法については必ず税務署窓口や税理士にも相談しましょう。また今後似たようなミスが起こらないように、今のうちから再発防止策を講じることが大切です。
追加の納税
修正申告を提出する際は、併せて不足分の税金を納める必要があります。納付期限は修正申告書の提出日と同じ日になるため、事前に納付の準備をしておきましょう。
修正申告をする場合は、最初の確定申告で足りなかった分と延滞税を納付します。納付が遅くなるほど延滞税が重くなりますので、早めに申告・納付した方が良いでしょう。
状況によっては延滞税以外にも追加納税が発生する可能性があります。追加の税金は最初の申告で金額に不備があったことへのペナルティです。計算方法は納付額によって異なるため、プロに相談することをおすすめします。
追加納税には以下のような種類があります。
・過少申告加算税:納付額の10%か、期限内申告税額と50万円のうちどちらか多い額を超える部分は15%に相当する額
・無申告加算税:納付額のうち50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%の額
・延滞税:法定の期限日までに納付されなかった場合に徴収される利息に相当する税金。金額は延滞日数と納付額によって変動
・重加算税:故意の虚偽や隠蔽など悪意ある行動の場合、上記の税に代わって科される
追加納税があると負担額が重くなるケースもあるため、なるべく修正申告が発生しないように、確定申告は正しく行うことが重要です。
まとめ
税務調査は多くの場合2~3日で終わり、最終的な税務調査報告書は長くても実地調査から約3カ月以内に届くことが一般的です。調査報告の内容によっては修正申告などの手続きを要する場合もあります。税務調査をスムーズに終わらせるためには調査員への協力的な姿勢や必要書類を漏れなくそろえるといった事前の準備が肝心です。
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税務関係書類は今後データでの保管が一般化していくでしょう。万が一に備えて書類を適切に保管するためにもぜひご利用ください。
@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)