JIIMA認証とは?電帳法の関係性や対応ソフトを選ぶメリットを解説
公開日:2023年10月16日 更新日:2023年10月31日
経理業務に関係するソフトウェアはさまざまなサービスが提供されており、選定には時間も手間もかかります。JIIMA認証を受けたソフトウェアであれば電子帳簿保存法に適した保存・管理ができるため、選定時のコストを減らすことが可能です。
本記事ではJIIMA認証とは何か、また電子帳簿保存法との関係性について解説します。対応ソフトを選ぶメリットや選定時の注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
TOPICS
JIIMA認証とは
JIIMA認証とはソフトウェアが一定の規格を満たしているか判断するための認証制度です。電子データでのやり取りが日常化している昨今、ソフトウェアを導入する際の検討コストを大幅に減らすことができます。
JIIMA認証制度の概要
JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント(JIIMA:Japan Image and Information Management Association)が実施している認証制度を指します。市販のソフトウェアやシステムが電子帳簿保存法に適合しているか検査する制度のことで、要件をクリアしていれば認証を受けられます。
購入したいソフトウェアやサービスが認証を受けているか確認したい場合、製品のパッケージや紹介サイトからJIIMA認証のロゴマークを探しましょう。認証は5つの制度があり、それぞれ対象となる内容や基準に違いがあります。各制度の詳しい説明は後述するので参考にしてください。
運営母体である日本文書情報マネジメント協会はJIIMA認証の他にも、文書情報のマネジメント・管理に関する知識を広めるため活動を行っています。
JIIMA認証制度の目的
JIIMA認証は電子帳簿保存法の要件を満たしたソフトウェアをより簡単に導入するために設けられました。JIIMA認証が導入されるまでは、電子帳簿保存法をクリアできているかどうかは製品のパッケージなどを一つひとつ確かめる必要がありました。
システムを導入するには複数商品の比較検討が必要なため、個別に確認しなければいけない状況は導入社にとっては大きな負担です。しかしJIIMA認証の導入後は認証ロゴの有無で簡単に見分けられるようになったため、導入までの確認ステップが大幅に減りました。
またJIIMA認証は電子データの文書を適切に管理・運用するための文書情報マネジメントを重視しています。認証マークのある商品はこの管理理念に合致したものともいえるでしょう。
JIIMA認証と電子帳簿保存法との関係性
電子帳簿保存法に対応していることを端的に示す認証がJIIMA認証です。電子帳簿保存法により早く・手軽に適応したいと考えたとき、JIIMA認証は分かりやすい目印として役に立つでしょう。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、国税に関係する帳簿や書類を電子データで保存する際のルールをまとめた法律です。デジタル技術がビジネスの現場にも浸透したことからたびたび大幅な制度改正があり話題を呼んでいます。
特に2022年(令和4年)の改正により、保存要件が緩和されたり、電子取引に関しては電子データでの保存が義務付けられるようになったりしました。改正した要項は主に以下のとおりです。
・紙の書類はスキャンや撮影で電子化してもよい
・データの書類はデータで保存しなくてはならない
これにより、多くの企業や事業者が電子帳簿保存法に準じた対応を行う必要がでました。
電子帳簿保存法とJIIMA認証
電子帳簿保存法は、必須の要件と任意で選べる要件に大別されます。任意の要件は後回しにすることも可能ですが、必須の要件は一定の期日までに社内フローを整えなければなりません。企業によっては早急に複数のシステムやソフトウェアを比較検討したい場合もあるでしょう。
JIIMA認証は使いたいシステムやソフトウェアが電子帳簿保存法に対応しているかどうかを判断できます。そのため、システムやソフトウェアの導入が初めての企業にとっては特に、JIIMA認証の有無は重視すべきでしょう。
JIIMA認証の種類は5つある
JIIMA認証はチェックする項目やソフトウェアの種類ごとに5つの制度があります。それぞれの目的や、具体的にどのようなツールに関連するか以下で確認しましょう。
電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証
電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度とはスキャナ保存をする際に使用されるソフトウェアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、認証する制度です。スキャナ保存とは、紙で保管していた書類をスキャニングして電子データとして保存することです。スキャン保存の際は解像度などいくつかの要件があり、要件が満たされていない電子データは電子文書として有効となりません。
備え付けのスキャナで漫然と保存していたデータが後から要件を満たしていなかったと判明した場合、最悪の場合はペナルティを受ける可能性もあるでしょう。こうした事態を防ぐためにも確認しておくと安心です。
電子帳簿ソフト法的要件認証
電子帳簿ソフトはうまく使えば専門の人員に代わって会計のデータを保存・管理できる便利なツールです。しかしツールの運用方法に誤りがあったり、データの保存方法にミスがあったりすると、書類が無効となってしまいかねません。ツールが要件を満たしているかどうかを判断するため、JIIMAでは国税庁から依頼を受けて電子帳簿ソフト法的要件認証制度を設けました。
例えば一般的に会計ソフトやシステムには、帳票書類の作成・保存・検索機能がついていますが、それぞれの要件を満たして作成・保存・検索ができなければ認証は受けられません。電子帳簿ソフト法的要件認証を取得したソフトウェアを使用すれば、電子帳簿保存法に対応する形で帳簿や帳票書類の保存が可能になります。
電子取引ソフト法的要件認証
電子取引とは、請求書や注文書・契約書などの取引書類を電子データでやり取りすることを指します。電子データを送付する専用ソフトを使う場合だけでなく、電子メールやクラウドサービスなどを利用する場合も該当するため、範囲は多岐に及ぶでしょう。
電子取引ソフト法的要件認証制度は、電子取引のデータを保存するソフトウェアの機能をチェックし、法的要件を満たしているとしたものを認証する制度です。保存には改正電子帳簿保存法第7条に定められた要件があるため、認証検査ではこれを満たしているかチェックします。
電子書類ソフト法的要件認証
国税関係の書類をエクセルなどの電子ツールで作成した場合、仮に紙で発行する場合でもデータの控えを取らなければなりません。請求書などの決算関係書類・取引関係書類でも同様です。こうした作成・保存に関わるツールが電子帳簿保存法の要件を満たしているか確かめる認証が電子書類ソフト法的要件認証です。
電子書類ソフト法的要件認証の認証パターンは以下の3つに分かれます。
・決算関係書類の作成、保存
・取引関係書類の作成、保存
・取引関係書類の保存
電子取引ソフト法的要件認証とよく似ていますが、電子取引ソフト法的要件認証は実際に取引した書類を保存する際の要項です。一方、電子書類ソフト法的要件認証は作成した書類やその控えを保存する際の要項に関係しています。認証を取得したソフトウェアを使用することで、電子帳簿保存法に対応した形で会計業務を行えるようになります。
アーカイブ用光ディスク認証
アーカイブ用光ディスクとは、デジタルデータの長期保存を目的としたシステムです。作成・保存したデータは国税局などの求めに応じてすぐに提出できるよう、適切な方法で長期保存する必要があります。また法に定められた保存期限を過ぎた後も、今後のためにより長く取っておこうと考える企業もいるでしょう。
アーカイブ用光ディスク製品認証制度はアーカイブ用光ディスク製品の品質をJIIMAが認証する制度です。ディスクが長期保存に耐えうるかどうか判断するため、JISやISOといった外部規格も参照しています。データは不適切な方法で管理すればすぐに損傷し読み取れなくなってしまいます。データの損傷を防ぐにはこの認証を参考にすると良いでしょう。
JIIMA認証を受けたソフトウェアを選ぶメリット
JIIMA認証を受けているということは、すなわち電子帳簿保存法の範囲内で書類を作成・保存できるということです。コスト削減だけでなく、違反の回避に役立ちます。
チェック作業をする手間を省ける
JIIMA認証の大きなメリットは確認にかかる手間やコストを削減できる点です。そもそも国税関係書類を電子化する目的は主に以下の2点が考えられます。
・取引先や法律など社外からの要請
・業務効率化など社内からの要請
いずれにしても、作成・保存したデータは電子帳簿保存法に対応していなければなりません。もし電子取引に際して複数のツールを使っている場合、送った書類やもらった書類が電子帳簿保存法の要件を満たしているかどうか個々にチェックする必要があるでしょう。
しかしJIIMA認証を受けたソフトウェアを使えば、電子データを作成・保存するたびに要件を満たしているかをチェックする必要はありません。確認のステップを減らせることから、人件費も時間的コストを浮かせてさらなる業務効率化が期待できます。
税務調査で罰則を受けるリスクを回避できる
電子帳簿保存法の改正により電子データ保存の要件が緩和され、電子取引への参入ハードルは今までより低くなりました。一方で不正や悪用を防ぐための罰則は強化され、より一層要項をクリアした健全な運用が求められています。
違反のペナルティは多岐にわたり、青色申告の承認取り消しの他、最悪の場合は追徴課税や会社法に基づいた過料の支払い命令を受ける恐れがあります。金銭的なリスクのみならず信用リスクにも関わるでしょう。これらの罰則はたとえ過失でも適応されるため、知らなかったでは済まされません。
JIIMA認証のソフトウェアであれば規定に準じた仕様であるため、罰則を受けるリスクを大幅に減らすことができるでしょう。
JIIMA認証対応ソフトを選ぶ際のポイント
JIIMA認証対応ソフトウェアを選ぶ際は、機能が自社に適していることはもちろん機能以外の面でも選ぶポイントがあります。ここでは6つご紹介するので選定の参考にしてください。
必要な性能や機能を備えているか
ソフトウェアによって性能や機能はさまざまなので、自社が現在利用しているツールと照らし合わせ、重なりや欠けがないか確かめましょう。具体的なチェック項目の例は以下のとおりです。
・スキャナ保存
・取引データの保存
・帳簿の作成・保管
・財務情報の管理
・帳票書類の作成・送付・保管機能
・データの検索機能
・外部システムとの連携機能
・セキュリティ
など
幅広い項目に目を配る必要がありますが、すべてを満たす必要はありません。いくら便利でも自社が求める物に対してオーバースペックであれば結果的に無駄が出てしまいます。過不足がないことを心がけましょう。
事業規模に合っているか
検査項目といった内容面だけでなく、事業規模によっても最適なソフトウェアは変わります。例えば小規模の企業で大企業が使うような高性能のソフトウェアを導入しても、使わない機能の方が多くなるケースも考えられます。
またソフトウェアは機能が多いほど使用料金が高い傾向があるため、予算が合わずシステムの使用を取りやめる場合もあるかもしれません。そうすると社内でフローを戻したり新しいツールを試したりと、導入時と同じくらいかそれ以上のコストがかかります。ソフトウェアを選定する際は「大は小を兼ねる」という発想ではなく、無理なく使い続けられるかどうかを判断基準としましょう。
サポート体制が充実しているか
ソフトウェアの導入にはトラブルがつきものです。特に導入直後は慣れない作業でさまざまな疑問が噴出するでしょう。こうしたトラブルは社内で対応できないことも多く、外部に協力を依頼する必要があります。
販売元のサポート体制が充実しているなら導入前後の不安もすぐに解消できるでしょう。JIIMA認証とは直結しないポイントですが、こうした副次的なサービスも充実しているか確かめておくと安心です。
無料トライアルを利用できるか
導入後に起きうるトラブルについては事前に確認しておく必要がありますが、実際の業務に沿って使ってみなければ判断できないケースも少なくありません。そのため事前に無料でトライアルが行えると望ましいでしょう。特に今までソフトウェアサービスを本格的に使ってこなかった企業では、利用者の生の声をヒアリングするいい機会になります。
無料トライアルはサービス導入の際に絶対必要な条件ではありません。しかしあった方が確実に安心できる要素であり、その後の定着率や社内からの評判にもつながるでしょう。
担当者のレベルに合っているか
社内の業務フローにもよりますが、ツールの使い方としては社内全員が同じツールを使う場合と一部の専門社員だけが使う場合の2通りが考えられます。前者であれば、例えば簿記や会計の知識があまりない場合でも、会計関係の書類を簡単に作成できるソフトウェアも検討されます。一方で後者の場合は広範囲的な使いやすさよりもより、多機能性を重視したソフトウェアを検討するかもしれません。
担当者が使いにくいと感じてしまえば、結果として効率が落ち、業務コストのロスにつながるといえます。使用する社員の範囲や、担当者のリテラシーなど複合的な点から判断しましょう。
バージョンアップをスムーズに行えるか
現在販売されているソフトウェアは最新の法制度に対応していますが、永久的に続くわけではありません。今後さらなる改正や環境の変化があった際、バージョンアップをスムーズに行えるかどうかは大きな判断基準といえます。
クラウド型のソフトウェアであれば自動でアップデートされるケースがほとんどですが、買い切り型であれば自分たちでパッチを当てなければいけません。特に法改正に関わるアップデートは重要なので、スムーズに対応できるソフトウェアを選ぶと良いでしょう。
まとめ
国税関係書類を電子データで作成・保存する際は電子帳簿保存法に対応する必要があります。法律で定められた細かい要項を個別に確認することは大変なため、JIIMA認証を利用すると良いでしょう。JIIMA認証を取得したソフトウェアなら、電子帳簿保存法の要件を満たした方法で電子データを保存できます。また電子データを作成・保存するたびに確認する必要がないため、業務効率化にもつながるといえます。
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アーカイブ電子帳簿保存法オプションがJIIMA認証を取得しているため、送信側の電子帳簿保存法に対応した電子データの保存が可能です。経理業務の効率的な電子化に向けて、ぜひご利用ください。
@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)