経理のアウトソーシングでよくある失敗5選!リスクの回避方法と注意点を解説
公開日:2023年9月19日 更新日:2024年3月15日
経理業務の負担を減らす方法として、アウトソーシングは有効です。しかし、アウトソーシングに失敗し、時間やコストが無駄になるケースも少なくありません。また社内の経理業務がスムーズに進まず、経営に影響するリスクもあります。
そこで本記事では、経理業務のアウトソーシングにあたってよくある失敗を、リスクの回避方法や注意点と併せてご紹介します。経理アウトソーシングの利用を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
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TOPICS
経理でアウトソーシングできる業務とは
アウトソーシングとは社内業務の一部を外部の業者へ委託することです。経理業務だけでなく、さまざまな業務において広く用いられています。
経理業務をアウトソーシングすれば、業務の効率化や業務品質の向上につなげることが可能です。企業内部の従業員の業務負担が減り、コア業務に専念できるようになります。
ただし、何の業務をどの程度アウトソーシングするかは企業によっても異なります。例として、経理部門でアウトソーシングできる業務内容をご紹介します。
・出納管理
・経費精算
・記帳
・集計
・年末調整
・決算申告
・取引先への支払い
・給与計算
・請求書発行
ここで列挙したもの以外の業務であっても、依頼先と合意に至れば委託できる可能性があります。
経理アウトソーシングで期待できる効果
経理業務をアウトソーシングすることで、業務負担の軽減や業務の効率化などが期待できます。また経理部門で起こりやすい属人化の解消につながる可能性もあるでしょう。ここでは、アウトソーシングの具体的な効果について解説します。
業務負担の軽減
経理アウトソーシングにより、業務負担を軽減できます。経理業務にはさまざまな定型業務が存在しますが、時間や手間がかかる作業も少なくありません。企業によっては長時間残業が定常化していたり、人手不足で従業員が有給休暇を取れなかったりなどの弊害が起きているケースもあります。
時間や手間のかかる定型業務を外部委託できれば、内部の経理担当者はより専門性の高い業務に集中できるでしょう。残業時間の削減や人手不足の解消などの効果も期待できます。
経理業務の効率化
経理業務のアウトソーシングは、効率化という意味でも意義のある施策の一つです。経理業務では数字を扱うことが多いため、入力やチェック作業も慎重に行わなければなりません。入力ミスがあると、訂正するためにさらに時間がかかってしまいます。
経理業務をアウトソーシングすることで正確性や業務スピードがアップし、チェック作業にも手間がかからなくなることが期待できます。また法改正にも迅速に対応できるようになり、業務フローやシステムの変更などの手間を省くことも可能です。
属人化リスクへの対応
属人化リスクへの対応という意味でも、経理業務のアウトソーシングを利用する効果が期待できます。経理業務が特定の担当者に任せきりになっている場合、担当者がいないと業務が回らないという事態に陥りがちです。担当者が休暇も取れない、体調を崩しても仕事をせざるを得ないなど、過度な負担を強いられる恐れもあります。
しかし、経理業務のうち一部でもアウトソーシングしておけば、担当者が不在のときにも対応しやすくなるでしょう。
経理のアウトソーシングでよくある失敗5選
経理業務をアウトソーシングした場合のよくある失敗として、以下の5つをご紹介します。これからアウトソーシングする予定がある場合は、事前に失敗例を確認しておくと良いでしょう。失敗例を把握することで、自社にアウトソーシングが適しているかどうか判断しやすくなります。
コスト削減につながらなかった
コスト削減を目的に経理業務をアウトソーシングしたものの、外注費用が高くコスト削減につながらないケースもあります。
経理アウトソーシングの料金相場は、企業規模や取引件数によって変動する仕組みです。そのため、高度な専門知識が求められる複雑な業務を委託すると、どうしても料金が高くなり、想定よりもコストがかかることもあり得ます。
アウトソーシングを検討する際は、何をどこまで依頼するかをすり合わせた上で、複数のアウトソーシング会社に見積もりを依頼しましょう。また社内に経理知識のある人材を確保しておくことも必要です。
業務の進め方が合わなかった
アウトソーシング会社と自社の業務の進め方が合わないことも、失敗につながる原因です。社内で経理業務をしていたときとは異なる処理方法で業務が進められると、トラブルになりやすいでしょう。
例えば、異なる勘定科目で仕訳されていたり、自社の業務フローとは異なる経理処理が行われていたりといった事例が考えられます。最終的に社内での手直しが必要になってしまうと、二度手間になってしまいます。
業務の進め方を合わせてもらうには、アウトソーシング会社と事前にすり合わせをすることが大切です。緊密にコミュニケーションを取り、齟齬を解消していくことが重要になります。
業務の柔軟性や専門性が欠けていた
委託先の柔軟性や専門性が欠けていたことも、アウトソーシングの失敗につながります。契約した業務以外は一切対応できなかったり、追加でコストが発生したりすることが典型的な事例です。アウトソーシングをしたとしても、委託先の業務品質が低ければ、自社で処理をしたほうがかえってスムーズに業務が進むかもしれません。
経理業務に専門的な知識がないと太刀打ちできない部分があるなら、そこに関しては自社で業務を完結させることも選択肢の一つです。安心して任せられる業務かどうかを見極めた上で委託を検討しましょう。
経営状況の把握が遅れた
経理部門は組織全体の資金の流れをいち早く把握し、経営層に伝えることも重要な役割です。経営層は経理が作成した資料を元に経営計画を立てていきます。
しかし、経理業務をアウトソーシングすることで、経理業務の状況を把握しにくくなる恐れもあります。資金の流れを把握することが遅れると、経営判断に影響するリスクもあるでしょう。経営状況が悪化していることに担当者が気付かず、いつの間にか損失が大きくなっていたという事態も起こり得ます。
経理アウトソーシングをしても、経営状況は把握できるような体制を整えておく必要があるでしょう。
経理担当の人材が育たない
経理業務をアウトソーシングすることは、経理担当の人材が育たないリスクをはらんでいます。大部分をアウトソーシングしてしまうと、社内で経理業務に携わる人材はどうしても少なくなりがちです。
しかし、社内に専門知識を持った人材が全くいない状態では、自社の状況を把握できない上に、委託先との連携もうまくいきません。自社がどうなっているか、何をどこまで頼めば良いのかがわからなくなり、適切な経営判断もできなくなるでしょう。
経理アウトソーシングを利用しても、経理人材の採用や育成は必要になる点には注意が必要です。
経理アウトソーシングにおけるリスクの回避方法・注意点
経理アウトソーシングは業務の効率化や改善に役立つものの、失敗に終わることもあります。失敗しないためには、リスクを上手に回避することが重要です。ここでは、経理アウトソーシングを利用する際のリスクの回避方法や注意点を解説します。
課題や目的を明確にする
まずは業務を洗い出し、社内で抱えている課題を明確にしましょう。特に、以下の点が課題になりがちなので、注意深く観察することをおすすめします。
・業務負担が大きい
・ミスが多発している
・担当者がいないと業務が進まない
また目的によっても依頼する業務範囲が変わってくるため、経理アウトソーシングを行う目的を明確にする必要があります。例えば、以下のような目的が考えられるでしょう。
・業務負担を減らす
・コスト削減をする
・属人化を解消する
課題や目的を明確にすることで、失敗を回避しやすくなります。
経理担当者や社内へ説明する
経理アウトソーシングするにあたって、会社としての方針や必要性を社内の経理担当者へ説明することも重要です。経理アウトソーシングを実施した後の業務フローや業務内容の変化を説明し、理解を求めましょう。
また経理部門以外の関係者も巻き込むことになる以上、経理担当者以外の従業員にも影響は及びます。例えば、依頼する内容次第では、経費精算や出張旅費の申請方法などを変更しなければならないでしょう。経理担当者だけでなく関係する部署全てに周知し、理解を求める必要があります。
目的に合った委託先を選ぶ
経理アウトソーシングの目的は会社によって異なるので、目的に合った委託先を選ぶことも重要です。例えば、日常的な仕訳と記帳を依頼する場合と、決算業務を依頼する場合では、必要となる知識や経験が異なります。専門性が高い業務の場合は、料金が高くなる点に注意が必要です。
複数の業者へ見積もりを取って、依頼できる業務範囲や専門性、料金プランをよく確認しておきましょう。経理アウトソーシングによって得られる効果と料金のバランスを見極めることが重要です。
引き継ぎの体制を整えておく
経理アウトソーシングをするなら、依頼したい業務を委託先へ引き継ぎやすいように体制を整えておきましょう。
マニュアルを整備し、引き継ぐ業務範囲をまとめておくと効果的です。できれば本格稼働する前に経理担当者と委託先の担当者とで打ち合わせをし、認識のすり合わせをしておきましょう。
また追加で業務を依頼する場合に対応が可能かどうか、追加料金が発生するかどうかも確認しておくことをおすすめします。
委託先の担当者との連絡を密にする
委託先の担当者との連絡を密にすることも重要です。経理業務を委託した後、委託先に業務を任せっきりにせず積極的に情報を共有しましょう。
コミュニケーションが不足すると、方針や意図が伝わっていないまま業務が進められるリスクがあります。お互いに積極的にコミュニケーションを取れば、適切な情報共有ができ、経営状況の変化にも気付きやすいでしょう。
また委託先のフォロー体制も確認しておく必要があります。フォロー体制が整っていると、導入前から社員に操作説明をしてくれたり、導入後もサポートを手厚くしてくれたりなどスムーズな運用につながります。導入したら終わりではなく、導入してからが始まりというスタンスでアウトソーシングを利用することが理想的です。
失敗しない経理アウトソーシング委託先の選び方
経理アウトソーシングが成功するか失敗するかは、委託先の選び方にも左右されます。委託先によって、依頼できる業務範囲、実績や経験、サポート体制は異なるため、慎重に検討しましょう。ここでは、委託先を選ぶ際のポイントをご紹介します。
業務範囲
経理業務の範囲は非常に幅広いので、委託先がどこまで対応してくれるかを確認しましょう。伝票入力、売上計上、経費精算、仕訳、入出金管理などの一般的な業務から、税務申告やコンサルなど高度かつ専門的知識が必要な業務まであります。
対応している業務の範囲や強みはアウトソーシング会社によって異なるので、依頼したい業務範囲や目的に合致した業者を選ぶことが重要です。
実績や経験
業者としての実績やスタッフの経験・専門性などを見極めましょう。一般的な経理業務であれば特別な資格は必要ありませんが、専門性が高かったり資格が必要だったりする業務を依頼する場合は実績や経験が重要になります。
特に確定申告書の作成や税務申告の代行などを依頼する場合は、税理士が所属する業者を選ぶことがおすすめです。アウトソーシング会社へ問い合わせれば、どのようなスタッフが在籍しているかを教えてもらえるでしょう。
サポート体制
サポート体制やサポート範囲も確認しておきましょう。業者によっては引き継ぎやマニュアルの作成をサポートしてくれることもあります。経理担当者の負担を減らす意味では、ある程度お任せできたほうが安心です。ただし、お任せできる範囲が広いほど料金も高くなる可能性があるため、バランスを見ながらの判断が必要になります。
また専門的な業務のサポートを依頼したい場合は、税理士や社会保険労務士などの有資格者が所属する業者へ依頼しましょう。
まとめ
経理アウトソーシングの利用で期待していた効果が得られないことは往々にしてあり得ます。失敗しないためには、利用する目的を明確にし、社内に説明することが重要です。また委託後も担当者との連絡を密にし、業者に任せっきりにしないようにしましょう。
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