請求書のエクセル管理方法は?電子帳簿保存法の要件を満たす方法別の注意点を解説
公開日:2023年2月15日 更新日:2024年6月12日
取引先から受け取った請求書や発行した請求書は、一定期間社内で保管する必要があります。近年では請求書を電子データで受け取ったり発行したりするケースも増えているため、請求書の管理については法律や社内の規定に従った形で行うことが大切です。今回は、請求書の管理方法について、方法別にそれぞれの利点や注意点を解説します。請求書を適切に管理するために、ぜひ参考にしてください。
TOPICS
請求書は一定期間保管する義務がある
請求書は納品書や領収書と同じ証憑書類の一種です。証憑書類は取引の証拠となる重要な書類であるため、法人税法により一定期間の保存が義務付けられています。原則として7年間、青色繰越欠損金が生じた事業年度、または災害欠損金額が生じた事業年度では10年間の保管が必要です。ただし保管期間は発行日を基準にした期間ではありません。請求書の発行日から7年後までという意味ではなく、事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間という意味になります。例えば4月1日~翌年3月31日が決算日の企業があったとしましょう。この場合、法人税の申告期限は翌年の5月31日になります。よって、請求書を保管すべき期間は翌年の6月1日から7年間となるため注意してください。
請求書の管理方法とは
請求書を管理する際には、いくつか検討しなければならない点があります。ここでは請求書の管理方法を決めるにあたって、状況ごとに分けて管理する方法と紙または電子データで保管する方法を紹介します。
状況ごとに分けて管理する
請求書は状況によって未処理と処理済みに分かれるため、状況ごとに分けて管理することがおすすめです。こちら側が発行した請求書も控えが残るため、入金の状況によって分けられます。取引先から受け取った請求書は、支払期日という観点で分類が可能です。これから支払う分と、すでに支払った分は分けて保管しておきましょう。同様に、発行した請求書も入金済みのものと、現状では入金待ちとなっているものに分けて保管すると整理しやすくなります。
紙か電子データで管理する
請求書の保管方法を保存媒体で分類すると、紙と電子データに分けられます。紙に印刷したものをファイリングして保管するか、PDFやエクセルなどの電子データを分類して保管するかを検討しましょう。保管方法を決める際には、改正電子帳簿保存法の規定に従うことが重要です。従来は、電子取引で受け取った請求書でも印刷して保管できましたが、改正電子帳簿保存法の施行後は電子データでの保存が義務付けられました。つまり、電子取引の場合、請求書の電子データを紙に印刷してファイリングしても、改正電子帳簿保存法の要件を満たせないことになります。そのため電子取引がある場合は、電子化への対応が必須です。2023年12月31日まで宥恕措置が取られていますが、期限終了前に対応を済ませましょう。
取引先から受け取った請求書の管理方法
取引先から受け取った請求書は、未払い分と支払い済みに分けて管理することが大切です。ここで紹介する基本ルールを元に、どのようにすれば業務が円滑に進むかを踏まえて細かいルールを策定しましょう。
未払い請求書
未払い請求書を受け取ったらすぐに、請求金額や請求内容に誤りがないかを確認してください。万が一、誤りがあった場合は再発行してもらいましょう。代金の支払いが完了するまでは、請求書は未払い分として別に保管します。代金の支払いが完了したら、日付と支払い済みの旨を記入するなど、支払い済みであることが分かるようにしておきましょう。支払い済みになった請求書は、すでに支払いが完了した請求書とともに保管しておきます。
支払い済み請求書
支払い済み請求書であっても、すぐに破棄してはいけません。前述のとおり、企業には一定期間請求書を保存する法律上の義務があるためです。請求書を後から検索しやすくするためには一定のルールが必要になります。月別に管理するか、または取引先別に管理するかを決めましょう。月別での管理は、月単位での支払いを把握しやすいことがメリットです。しかし特定の取引先の請求書を探しにくいというデメリットもあります。これに対し、取引先別に管理する場合は取引先ごとの支払い状況を確認しやすいことがメリットです。ただし、月単位での支払いはすべての取引先のデータを集計しないとわかりません。また、取引先が多くなった場合、管理が煩雑になる点もデメリットです。
取引先へ送付した請求書控えの管理方法
一方、取引先へ送付した請求書の控えも、適切に管理しておく必要があります。受け取った請求書の場合と同様、管理方法や管理において注意すべきポイントを解説します。
未入金の請求書
請求書を発行したら、原本の控えを取った上で取引先に送りましょう。請求書を送付する際にとった請求書の控えは、入金が確認されるまで未入金分として管理します。未入金の請求書を管理するときは、支払い期日順に重ねて保管すると管理しやすくなります。イレギュラーな事象が発生しない限りは、支払い期日が早い順に入金されることが一般的だからです。取引先からの入金が確認できたら、入金済み請求書として別に保管しましょう。
入金済み請求書
入金済みの請求書は、支払い済み請求書と同様に月ごと、もしくは顧客ごとに管理しましょう。どちらの方法で管理するかは、企業内の事情を鑑みて決めて構いません。社内での請求書管理をスムーズに行うためには、見積書や納品書などと共通の通し番号をつけておくことをおすすめします。通し番号順に管理すると、取引先から問い合わせがあった際に確認しやすいためです。通し番号をつける際も、社内でルールを策定してから進めましょう。
請求書の管理方法別の利点・注意点
請求書を管理する方法は、紙で管理する方法とエクセルで管理する方法、電子化して管理する方法の3つがあります。ここでは、それぞれの利点と注意点を解説します。
紙で管理する方法
紙で受け取ったり、発行したりした請求書は、そのまま紙で保管できます。ここでは、請求書を紙で管理する場合の利点や注意点について、詳しく解説します。
・紙で管理する場合の利点
請求書を紙で管理するメリットは、受け取ったり、発行したりした請求書をそのまま保管できることです。また原本のまま保管するため、改ざんされる可能性が低くなります。セキュリティ面からも理にかなった方法です。特別なシステムを導入しなくても運用できる方法でもあるため、費用面がネックになることもないでしょう。ただし、詳しくは後述しますが、改正電子帳簿保存法の施行を機に、紙での請求書発行が減る可能性がある点には留意が必要です。
・紙で管理する場合の注意点
請求書を紙で管理する場合、電子帳簿保存法との兼ね合いで注意すべき点が出てきます。2022年1月1日からの改正電子帳簿保存法の施行に伴い、電子データとして受け取った請求書を紙に印刷して保存することができなくなりました。そのため紙の請求書と電子データの請求書は別々に保存しなければなりません。取引先Aは紙、取引先Bは電子データなど管理も複雑になるため、業務フローの大幅な見直しが必要になります。
エクセルで管理する方法
マイクロソフトが販売している表計算ソフトMicrosoft Excel(以下エクセル)で請求書を発行・管理する方法もあります。エクセルはビジネスでも広く普及しているため、エクセルを使って請求書を管理している企業も多いでしょう。ここでは、エクセルで管理する方法の利点と注意点について、詳しく解説します。
・エクセルで管理する場合の利点
エクセルで請求書を管理する利点は、導入コストがかからない点です。エクセルを含むマイクロソフトオフィスは、多くの企業で一般的に使われているため、新たに導入するためのコストが発生しません。また紙で請求書を発行する場合に比べ、印刷やファイリングなどの手間がかからないことも利点です。さらに、電子データとして保存するなら、紙で保存する場合に比べて保管に必要なスペースを非常に少なくできます。
・エクセルで管理する場合の注意点
エクセルで作成した請求書は、データを簡単に変更できるため、改ざんされるリスクが非常に高いです。エクセルの請求書を電子データとして保管する場合、改ざん防止対策を必ず施してください。また、複雑な計算式や関数を使って請求書を作っていた場合、担当者が不在になった時に誰も対応できなくなるおそれがあります。なるべく簡単な計算式や関数にとどめるとともに、マニュアルの拡充や引継ぎ体制の見直しを定期的に行いましょう。
電子化して管理する方法
請求書の電子化とは、請求書の発行や送付、保管を電子データで行うことです。作成した請求書をPDFで保存したり、紙で受け取った請求書をスキャナで画像データにしてから保存したりして保管します。また、メールなどで電子的に受け取ったデータは電子データのまま保存が必要です。ここでは、請求書を電子化して管理する場合の利点と注意点について、詳しく解説します。
・電子化して管理する場合の利点
請求書を電子化して管理する場合の利点として、経理業務の効率化が挙げられます。請求書を電子化すればメールやWeb上で送付できるため、紙の請求書のように印刷したり郵送したりする手間がかかりません。また検索機能を使えるため、請求書の内容を確認したい場合もスムーズに進められます。ファイルを一から調べなくてもよいので、大幅に作業時間を削減できるでしょう。加えてファイルの送受信など、社内でのデータ共有も簡単です。紙の請求書のように、ファイルを調べて相手に持って行くという手間もないため、テレワークにも対応しやすくなります。再発行や修正も紙の請求書に比べればはるかに手間がかからず、現場の負担を軽減できることが大きなメリットです。
・電子化して管理する場合の注意点
一方、電子化して管理する場合の注意点として、改正電子帳簿保存法への配慮が必要な点が挙げられます。電子データで保管する場合は、改正電子帳簿保存法の規定に則り、タイムスタンプの付与や検索機能の実装を行わなければなりません。そのため改正電子帳簿保存法に対応したシステムの導入が必要になりますが、初期費用や維持費など相応のコストはかかります。また取引先に請求書の電子化について通知しておくことも大切です。取引先が快く受け入れてくれれば問題ありませんが、中には紙での請求書の郵送を希望する取引先も出てくるでしょう。すべての取引先に対して、画一的に請求書の電子化を進められるとは限らない点に注意が必要です。
【企業事例:株式会社せんにち様】請求業務の電子化でミスを大幅に削減
株式会社せんにち様は、請求に関わる経理業務の細かい作業や管理をダブルチェック体制でミスを防止していましたが、毎月30時間程かかっていました。
コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』を導入した結果、毎月1000ページ以上の請求書を電子化の上、発行業務の自動化をすることで経理業務を大幅にコスト削減、トラブルを抑制できました。
基幹システムの改修をせずに短時間で実装まで進められた事例となりますので興味のある方は以下リンクのページから資料をすぐにダウンロードいただけます。
▼導入事例【株式会社せんにち様】
月間約300 件、1000 ページ以上の請求書を電子化!自動化により生産性を向上!
まとめ
請求書を管理する方法としては、エクセルやPDFによる電子化などが挙げられます。一方で、改正電子帳簿保存法の施行により、紙での保管にはかなりの制約が加わりました。そのため管理方法を統一するなら、請求書などの書類を電子化することがおすすめです。ただし電子化して保管する場合、改正電子帳簿保存法における要件を満たす必要があります。コクヨの電子帳票配信システム『@Tovas』は、送付した請求書を電子帳簿保存法に対応した方法で保管することが可能です。データの閲覧や検索も簡単にできるため、請求書などの帳票書類の保管に役立ちます。また、万が一取引先から電子データでの送付を断られた場合でも、取引先によって郵送、メール、FAXと送り分けができるので便利です。改正電子帳簿保存法の施行を機に、請求書の電子化を目指す場合はぜひお問い合わせください。
@Tovasマーケティング担当(コクヨ株式会社)